前号で、国土交通省の内航活性検討会から発表された「内航未来創造プラン」への意見を募集しました。今号より、同プランや内航の問題全般について、読者や現場の皆さんから寄せられた意見・感想を順次掲載していきます。
メール、ファックス、手紙など何でもよいので、感想・意見をふるってお寄せ下さい。実名・匿名を問いません。

内航未来創造プランを読んで
(タンカー乗船中の機関士33歳:メール)
「I 内航海運の現状」について
内航の黒油タンカー、セメント船、 コンテナ船、ケミカル船等に乗ってきました。
内航海運に従事している船舶は、約10年間で隻数は減少しているが、総トン数は増加しているとのこと。僕の周りでは、これまで199トン型貨物船(DW650トン)を所有していた船主は、250トン型(DW800トン)ヘシフトしている。しかし、499トン型の場合、エンジン出力が735KW未満であれば、同じ4名定員で運航が可能だが、長さにより入港できない港もあるため、大きさが制限される。この問題をどう解決するのか?
「Ⅱ 目指すべき将来像、方向性」について
○船員の確保・育成
何と言ってもこれが焦眉の課題。まず、世間に船員の職業と内容の認知度を上げるべきである。小学生、中学生に対する広報活動を活発に行って欲しい。その上で、国には次のような制度作りや企業援助をして欲しい。
①企業への援助
自社で新卒者を採用し育成していくためには、豊富な資金が必要である。また船においては、船員室の確保や教育できる環境、時間が必要である。
それが可能なような中小企業への援助制度作り。
②カボタージュ制度堅持
海外企業(韓国や中国)では、予備船員を数人乗船させて、日本国内(瀬戸内海) へ運航をさせていることから、カボタージュ制度に風穴を開けてくる懸念がある。取締りを厳格にして欲しい。
③過密スケジュールの解消
雇用条件(給与・休暇等)の改善も必要であるが、タイトな運航により、整備時間も確保できないのが現状。オペレーターは、余裕のあるスケジュールを組んでもらいたい。国の指導が必要では。
④サービストン数
現在、699トン型では居住区に限り50トン未満のサービストン数を利用できるが、499トン型にも採用すべき。
⑤船内供食
699トン以上の船では、基本的に司厨長が乗船しているが、499トン未満では各自が自炊しているのが現状。貨物船は、荷役時間も比較的長く公共岸壁での荷役も多いので交代で買い出しに行く余裕もあるが、タンカー船は専用岸壁での荷役が多く、荷役時間も短いので買い出しの余裕がない。司厨部を乗せるか供食体制が絶対に必要。
また、司厨部の労働条件について、甲板部、機関部が職員なのに対し、事務部は部員扱いの会社がほとんどである。養成機関も少なく、雇用条件も陸上と差がなければ、余程のことがない限り船に乗って料理を作りたいと思う人は少ない。司厨部の処遇の根本的発想転換が必要。

「Ⅲ 今後取り組むべき具体的施策等」について
①AISの普及を!
現在、AISの搭載義務船舶は、300総トン以上の国際航海する船舶、500総トン以上の非国際航海の船舶、国際航海の全旅客船となっている。しかし、瀬戸内海などの狭水道において、反航船はレーダーには映らないことがある。また船舶輻輳海域では、避航動作に迷うことがあるから、内航船に限り搭載義務を199トンまで拡大し、資金を援助して欲しい。国より補助金を支給する事で安全運航につながると思う。
②過密。長時間労働の解消を!
船内記録簿に実際の労働時間を記入すると、船員法に違反してしまうので、何とかして欲しい。労務官は訪船だけでなく、運航会社や荷主を指導することも必要と思う。
(内航機関士)

ベテラン航海士の感想( 64歳、漁船経歴25年、内航経歴25年)
『長い文章は苦手で正直読む気がしない。どんなことが書いてあるんかな? 俺は難しいことは分からないけど、船員が足りなくなつて、この先どうなってしまうんかなとは思う。会社は金儲けしか考えていないから、とにかく免状持つた人間さえいればいい、船が動きさえすればいいわけ。だから外国人でも何でもいいんじやないか。導入がOKになれば、すぐに外国人探しを始めると思う。安けりゃ安いだけいいという考えだから。
でも国はそれでいいのかねぇ。外国人だらけになったら危なくてしようがない。今だって関門海峡なんか怖くてしょうがないのに、事故ばかり起きるんじやないの。第一日本語が通じなくて、会社との連絡や荷役はどうするのさ。中国人が一人前の一航士や船長になるまで10年は掛かると思うよ。俺は一緒に乗りたくないから、その時は引退しているけどね。
組合?組合はもういいよ。漁船の時は良くしてくれたけど、内航に移ってから余り良いことないから退めた。あてになるのかねえ?』