~船員教育の良心、継承してくれる人を~

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 7年におよぶ長い連載が終わった。雨宮先生ご苦労様でした。
 船員を単なる運び屋、船の動かし屋としか見ない今の風潮。

 今、船員不足の解消とか、船員の確保育成を声高に叫ぶ人達の中に、真に船員を愛し、本気で船員のことを考えている人がどれだけいるでしょうか。単に自分の利益や都合で言っているようにしか見えない人のなんと多いことか。

その点、雨宮先生の視点はまったく違うように思えます。

 今の船員の惨状は、戦争に突き進んで行った戦前・戦中の船員教育の反省に立って再出発した戦後の新船員教育が目指した「新しい学問としての商船学の確立と、新時代にふさわしい見識をもった船員の育成」が、船員制度近代化や緊急雇用対策、その後の船員教育機関の統廃合など、コスト重視の政策でとん挫させられたことと重なっているという視点。

 新学問としての商船学とは、技術取得だけでなく、現場で応用し発展させる能力と国際的視野、労働条件、労働環境など船員の人間性回復も視野に入れた船舶運航学術の学問体系で、それを模索していた教員たちがいたとのこと。単に船乗りになるため商船学校に入っただけの近視眼的思考の身には青天の霹靂でした。

 本の内容をすべて理解したとはとうてい言えませんが、水産大学、商船大学の両方を経て外航の航海士、航海訓練所の練習船教官、富山商船高専で培われた船員を見る暖かいまなざしを随所に感じました。

 先生の良心を継承してくれる人が現れることを願っています。