同誌は、本誌や海員組合を良くする会(代表・元組合長井出本榮氏)のニュースを紹介し、海員組合が過去の役員選挙で規約違反を繰り返し、裁判でことごとく敗訴した経緯を記し、「役員任期の限定が必要」と結んでいる。同誌編集長はあとがきに「全日海は内航業界を支える唯一の労働組合であり、民主的になってもらいたい」と記す。字数の都合で冒頭部分のみ紹介する。(全文は当会ホームページ)。また1月号の巻頭言・拝啓国交大臣殿で「全日海を指導して下さい」を掲載している。

不公正さが指摘される全日海役員選挙

昨年11月に行われた全日本海員組合(全日海、松浦満晴組合長)の組合長選挙は不公正だ、との批判が上がっている。船員OBのブログ(双方向の電子掲示板)や機関紙が民主主義が機能していないと訴えている。

 船員OBが狼煙
批判しているブログと機関紙は「羅針盤を発行する会」と「海員組合を良くする会」である。いずれも任意団体で、代表者は元外航船員である。
 「羅針盤を発行する会」は外航部員で組織した元「船員部員協会」を引き継いで2009(H21)年11月1日に発足した。年3~4回、機関紙の『羅針盤』を発行している。読者は約3,000人。同紙を公開しているブログは、約5万人が閲覧(登録)している。発行責任者の竹中正陽氏は元太平洋汽船の一等機関士で現在、臨時で内航船に乗っている。現役の全日海組合員で昨年11月8・9両日、神戸で開催された全日海定期大会(第82回)に出席した。そこで見た森田保己前組合長の交代の模様を『羅針盤』(第35号)で大筋、次のように書いた。
 「大会初日の冒頭、(森田)組合長は本日、体調がすぐれず欠席した」と報告された。壇上に
は組合長の席はなく2人(田中伸一、松浦満晴)の副組合長が真ん中に陣取っていた。組合長の挨拶
の代読もなく、来賓挨拶に進んだ。
 午後の会議の冒頭、選挙委員長が、いきなり『森田組合長から辞任届が出された。本大会で組合規約第35条C項により、補充選挙を行う。立候補は13時40分までとする』との発表があった。立候補の締め切り時間は、わずか30分しかなかった。組合員の議場は、シーンと静まり返ったままだった。傍聴席は一瞬ざわついた。
 14時過ぎに松浦副会長1人だけが書かれた立候補者名簿が配られた。投票が行われ、 15時30分に松浦氏の組合長当選が発表された。代議員199人の投票結果は賛成189票(95%)、白票9票(4.5%)、無効1票(0.5%)だった。続いて松浦副組合長の空席を埋める繰り上げ選挙が行われ、鈴木順三・中央執行委員の副組合長昇格と斉藤洋・関東地方支部長の役職昇格が決まった。いずれも立候補は1人で、対立候補はいなかった」
組合規約違反を指摘
 竹中氏は、このような役員選挙は組合規約違反だ、と指摘している。「選挙委員長が説明した規約35条C項は選挙の手続き上のことを言ったに過ぎない。事前告知の無い役員選挙は規約17条の『平等に役員に立候補できる権利』を侵害している。役員選挙を突然、実施されれば大会出席者は実質的に立候補が出来ない。まして洋上の組合員は立候補しようがない。