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短距離フェリーの船員に聞く

地元を離れたくない
 まだ入社したばかりの新米です。地元の大学の水産学部を出てこの4月に就職しました。
 この会社に来た理由は、実家に近くて家から通える距離だし、つぶれる心配もないと思ったから。
 水産会社からの求人も沢山あったけど、行く気はサラサラありませんでした。元々乗船期間が長い船に乗るつもりはなく、家から通えて海技免状も取れるという理由で地元の学校を選んだだけなので。
僕って地元を離れられないタチなのかも知れません。
 早番の時は昼飯を、遅番の時は夕飯を、会社が専属の弁当屋に頼んで届けてくれるので食事の不満もありません。
 今は早く仕事を覚えるため、ひたすら先輩のあとについて行くだけ。早く一人前の航海士になりたいです。
(23歳、航海士見習い)

車通勤、慣れるとやめられない
 前の会社は内航のタンカーやカーゴをたくさん持っている大きな会社です。オペレーターで、海員組合に入っていました。
 この会社に来て給料はどーんと下がったけど、家から通えるのが魅力で入りました。会社の駐車場があるので、朝車で来て夜帰ることができる。夜の便で行っても、向こうの港で会社が借りているホテルに一泊して次の日には家に帰れる。今じゃ3カ月も乗船するのは考えられない。きっと耐えられませんね。
 エンジンの整備は運航が終わったあと、夜に整備班が整備をするので、僕ら運航要員はノータッチ。そのうち仕事を忘れて、他では使い物にならなくなってしまうかも知れませんね。
(28歳、機関士)

休暇はくれない、職員には成れない、嫌気がさした
 大手のカーフェリー会社から移って来ました。
 その会社は2~3週間乗って1週間から10日休むサイクルだったけど、人が足りなくて、長いこと乗せられるのが常態でイヤになった。休暇中の予定を立てても、その通り休めることがほとんどなかったので。休暇の買い上げはあったけど、結婚もしたし、お金より休みが欲しいのが移って来た一番の理由です。3週間でも長かったのに、内航の人が3カ月も乗るなんて信じられません。
 上がつかえていて中々昇進できないのもネックだったですね。商船高専を出てせっかく免状を取っても、ずっと部員をやらされるのが分かったので。
 免状取っても職員に成れないし、休暇も予定通り取らせてくれないしで、若手がどんどん辞めて行く悪循環。上層部は何を考えているのかとみんな言っていましたね。
(26歳、航海士)

タンカーはうんざり
 商船高専を出て、学校の先生に紹介されて訳も分からないまま内航のタンカー会社に就職。ずっと5000㎘に乗っていました。
 内航労務協会に入っている大きい会社だったので給料は良かったけど、タンカーは社内ルールや石油会社の岸壁のルールがうるさくてうんざり。ずっと辞めることばかり考えていた。
 たまに休みがあっても5000㎘は仮バースできる港が少なく、沖に停泊がほとんど。仮バースは1カ月に一度あれば良い方で、3カ月乗って一度もないこともあった。
 たまたま仮バースが空いていても、下請けの船とバッティングする時が結構あって、親会社は模範を示さなければいけないということで譲らなければならない。
 それに人手不足で協約通り休暇を取れないし、タンカー会社は行くもんじゃないですよ。
(30歳、機関士)

外航はもう十分
 商船高専を出て外航の大手会社に10年近くいた。ずっと乗りっ放しだったから外航はもう十分という気持ち。結婚して子供も出来たし、近くて家から通えるこういう会社を探していたのでちょうど良かった。実家に近いのも好都合だし。
 日帰りと言っても、朝番の時は、出航の一時間前には着いて準備しなければならないので、朝暗いうちに家を出る。夜手じまいが終わるまで12時間以上の労働になり、実質サービス残業です。まあ、遅くても家に帰れるのでストレスはあまりたまらないけど。
 結果、年収は6割程度に下がったけど、お金の問題ではないですね。
(30歳、航海士)

そのうち人員整理が
 コロナでこの会社も先行きどうなるか分からないので、正直不安はありますね。
 今は休んでいる人がたくさんいて、会社は雇用調整助成金で何とか持っていると言っている。元々給料が安いから、雇用調整助成金でトントン位になるので喜んでいる人もいるみたい。でも、そのうち人員整理が始まるかも知れないとみんな言っている。その時はどうしようかなぁ。海員組合に入れば、少しはやってくれるかも知れないけど。
 私は学校を出てすぐこの会社に来たので、他の船は知らないし、内航で通用するかどうか不安ですね。
(32歳、航海士)


他社に移る気しない
 神戸商船大を出てすぐこの会社に就職した。この会社はみんな若いのでもう古株の部類です。外航は求人が少なかったし、最初から行く気もなかったので国内を探していた。
 この会社は比較的安定しているし、なんと言っても家から通えるのがいいですね。遅番の時は向こうで一泊するけど、二泊することはないので生活のリズムが安定している。
 ずっと同じ港を行ったり来たりで、全部頭に入っているので仕事は楽と言えば楽で、他の会社に移る気はまったくないですね。
(41歳、船長)

機関士の仕事を忘れないように
 タグボートの会社に10年ほどいて移って来た。タグの時はドックの時を除いて、整備を全部船でやっていたけど、この会社では運航要員は基本運航だけなので、いつのまにか仕事を忘れてしまう。ストレーナーの掃除も整備班の仕事なので。
 それじゃいけないので、ローテーションで整備班もするようにしているので、若い人にとっても良いと思う。
(46歳、機関長)