船員とOBら多種多彩なメンバー10人が呼びかけ人となり、新し
い会が発足する。今月中にも設立総会を開き、無料の相談活動を
開始するという。船員の駆け込み寺として期待される。
 

船員の人権を守る会(仮称)設立の呼びかけ
 いま船内で、孤立し、悩み、日々苦しい思いをしている船員、泣き寝入りや辞めることでしか解決のすべがない船員が大勢いることを御存じですか?
「ルール、ルールで息が詰まる。上陸もままならない。何のために外航船員になったのか」
「内航船は夜中走って昼荷役。上司の怒鳴り声に気が滅入る毎日。相談できる人はいない」
「外国漁船との競争に魚価安、燃料代高騰で赤字操業の連続。離職しかないのか」
「仕事中のケガなのに労災申請させてもらえず、辞めろと言われた」

 海に囲まれた日本にとって船員の重要性は昔も今も変わりません。しかし遠洋・沖合漁業の廃業や減船、内航の劣悪な労働環境と長時間労働、外航では日本人船員の乗らない船が急増し、外国人船員もまた無権利状態に置かれています。その結果、海を志した多くの若者が希望を失い海上から立ち去っているのが現状です。若者が夢を持てない職業に未来はありません。
 私たちはこうした現状を憂い、外航、内航、水産、そして外国人船員や技能実習生を含めたすべての船員が、人らしく生きる権利、希望を持って働ける職場にすることを目指して、ここに「船員の人権を守る会(仮称)」を設立することにしました。
 賃金が払われない、辞めろと言われた、事故を起こした、労災申請したい、安全法規・労働法規違反を正したい、運輸局や裁判に訴えたい、結婚できない、パワハラやセクハラを受けた、辞めたい等々。船員一人ひとりの悩みや苦しみに寄り添い、困っているあらゆる問題について、無料で相談できる場を作ることが今求められています。
 また、船員が置かれている状況を広く社会に訴え、改善を求めていく活動も行っていきたいと思います。
 私たちは、これまで海員組合の活動や船員関係の職務に長年にわたりたずさわってきました。今は自由な立場で、船員の人権を守るボランティアの集まりとして、これまでの経験を活かしたいと願っています。組合加入の有無にかかわらず、外国人船員を含め、すべての船員とその家族、関係者の皆さんから手紙や電話、FAXやメールなどで相談が寄せられた場合には、会員相互に連携しながらできる限りのアドバイスと支援をさせて頂きます。
 船員の人権を守るため、多くの皆さんの参加とご協力を呼びかけます。
   2022年12月1日


※呼びかけ人
赤塚宏一(商船三井元船長、国際船長協会連盟副会長)
加藤昌平(第一中央汽船元船長、元海難審判所長)
柿山朗(伊勢三河湾水先人)
高橋二朗(海事補佐人)
竹中正陽(内航機関長)
藤丸徹(元海員組合教宣部長)
堀内靖裕(元海員組合東京支部長)
本望隆司(元全日本船舶職員協会理事)
山口喜春(焼津水産高校元教諭)
山下昭治(元ITFコーディネーター)


※連絡先
弁護士法人 むらかみ
〒102―0073 東京都千代田区九段北4-3-14
市ヶ谷グラスゲート4階
Eメール:senin₋jinken@googlegroups.com
担当高橋二朗(携帯:090-6008-6146)
(注)会費は、来春に設立総会を行って会則を決定した後、納入して頂くこととします。それまでの間も、随時入会受付および相談を承ります。


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船員の人権を守る会(船員相談センター) 会則案
第1条(名称)この会は「船員の人権を守る会」という。略称を「船員人権の会」という。
第2条(所在地)この会の事務所を、「東京都千代田区九段北4-3-14 市ヶ谷グラスゲート4階 弁護士法人むらかみ」に置き、必要に応じて各地に連絡先を設けることができる。
第3条(目的)この会は船員の人権を守るために行動することを目的とする。船員とは、商船・漁船・港湾船などのあらゆる船員を言い、外国人船員を含む。
第4条(事業)前条の目的を達成するために、次の非営利事業を行う。
(1) 船員の人権を守るための相談(無料)・支援活動
(2) 船員の人権を守るための調査研究・発信
(3) 会報の発行、ホームページの開設等
(4) その他、必要な事業
第5条(会員)会の目的に賛同する人を会員とする。会員は会の事業に協力するものとし、各種活動に参加できる。
第6条(財政)会の財政は会費とカンパによる。年会費を1,000円とする。
第7条(役員)会長1名、副会長若干名、事務局長1名、事務局員若干名、監事2名を置く。
2.役員は総会において会員の中から選出し、任期は2年とする。
3.顧問を置くことができる。
第8条(役員の職務)会長は会を代表し、会務を統括する。
2.副会長は会長を補佐し、会長に事故あるときは、その職務を代行する。
3.事務局は会務を執行する。
4.監事は会計監査ならびに事業監査を行い、総会に報告する。
第9条(報酬)会の活動は無報酬とする。
第10条(総会)総会は年1回、会長が招集し、全会員の過半数の出席をもって成立する。他の会員への委任状出席、書面表決、およびオンラインによるリモート出席を可能とし、会計監査の承認を含め、すべての事項を出席会員の過半数をもって決定する。
第11条(事業年度)事業年度は、毎年4月1日から翌年3月31日まで とする。