Vol.38 内航おしゃべり広場⑮

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船員法の食料金規定
（有給休暇中の報酬）
第78条　船舶所有者は、有給休暇中船員に給料並びに国土交通省令の定める手当及び食費を支払わなければならない。
（食料の支給）
第80条　船舶所有者は、船員の乗船中、これに食料を支給しなければならない。②前項の規定による食料の支給は、(中略)船舶所有者の費用で行わなければならない。

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ケチな会社と気前の良い会社
　「前の会社の食料金は１日１３００円で、米や調味料は全部会社持ち。下船する時にその月の残りの日数×１３００円を交代者に渡すシステムだから夜遅く交代しても下船日は食料金ナシ。社長がケチで新幹線は自由席、タクシーも原則ダメで、港を通るバスがあればそれに乗るよう路線番号までＦＡＸで指示される。もちろん乗下船日の食費や日当はなく、ホテルも安い所を会社が予約するケチな会社だった。
　その点、今の会社の食料金は月４万円。米・調味料代として毎月３０００円引かれるけど、休暇中もくれるから年間48万円で組合船よりずっと良い。恵まれてるっちゃ、恵まれてる」
（４９９タンカー船長・未組織）

１日２０００円のガット船も
「この会社の食料金は１日１４００円で、米・調味料代として月３０００円引かれる。休暇中はもちろんナシ。下船の時は余った金を日割り計算で次の人に渡すやり方だ。だいたいどの会社も同じやり方で、１３００～１４００円が普通だ。それを全額くれる会社と、米・調味料代を引かれる会社と色々ある。
　ガット船の会社で１日２０００円の会社もあるらしい。しかも米・調味料は会社持ちというから気前の良い会社もあるものだ」
　（４９９ガット船機関長・未組織）

船用金から補填
　「そうかね、組合船は今１４００円かね。うちの所は１３５０円から全然上がっていない。１３５０円と言っても、足りない分は船長が船用金から出してくれるようだから不便はないみたいだ。コックは外航にいたとかでメシは良いよ。仮バースがないから若い人は結構辞めていくけど、飯の不満は聞かないね。
　有給休暇中の食料金？内航に移って長いけど、そんなのくれる会社聞いたことないなあ」
　（５千トン貨物船甲板手・未組織）　　

　　

内航は船員法も組合もナシ
　「外航では食堂やエンジンルームに協約書が置いてあり、お茶の時間に、ああでもない、こうでもないと言い合っていたけど、内航はそんな会話もできない。乗下船日や有給休暇中の食料金もナシ。組合船も同様だ。前の会社ではコックを降ろす代わりに食料金の他にマカナイ手当として月３７０００円出た。それも経費削減でいつのまにかカット。組合船でその始末だよ。
　そもそも船員法はメシは会社持ちだから、自炊船の食料買い出しや自炊する時間は労働時間のはずだ。時間外手当の対象ではないのか。
　夜中走って昼間荷役で即出港、時には揚げ・積みでぶっ通しの作業。船員法なんて絵に描いた餅の内航で若者が定着するはずがない。
　（４９９タンカー機関長・未組織）