出席者 大内要三(日本ジャーナリスト会議会員)飯嶋雄二(元交運労協国際局長、元航海士)
    柿山 朗 (元外航船長・パイロット)
    高橋二朗(元外航船長・海事補佐人)
    竹中正陽(外内航機関長)、司会兼任

 自衛艦おおすみと釣船トビウオの衝突・転覆事件について、昨年12月22日、広島高裁が棄却判決を出したが、トビウオの遺族・乗客側は最高裁へ上告した。(本誌23、30~33、36号参照)
この機会に、事件全般を振り返りながら、高裁判決の問題点や船員社会に及ぼす影響について語って貰った。
○高裁判決までの経過
 2014年1月15日08時頃、広島湾の阿多田島沖を17・4ノットで航行中の空母型輸送艦おおすみ(178m)と釣り船トビウオ(7・6m、速度不明)が衝突、転覆したトビウオの高森船長と乗客1名が死亡した。
 同年6月、海上保安部はおおすみの艦長らを見張り不十分、操船不適切で広島地検へ書類送致し、トビウオ高森船長に対しても同様の過失を指摘した。
 2015年2月、国交省の運輸安全委員会は事故調査報告書を発表。進路・速力を保持していたおおすみに対し、トビウオが左舷前方から右転して艦首に接近したことが衝突の原因とした。また、おおすみが早期に余裕のある航行をすれば事故は避けられた可能性があるとした。
 同年12月、同報告書を受け、広島地検はおおすみ艦長らを不起訴とした。翌年10月、検察審査会も告発人の申立てに対し不起訴処分相当と議決し、刑事裁判は行われないことになった。
 2016年2月、海上自衛隊が艦船事故調査報告書を発表し、おおすみ艦長らに過失はなく、トビウオ飛び込み説を唱えた。
 同年5月、真相究明と賠償を求めてトビウオの乗客と遺族計4名が国(海上自衛隊)を相手に国家賠償請求訴訟を提起したが、2021年3月の広島地裁に続き、同12月広島高裁はトビウオの右転が衝突原因として請求を棄却した。
 なお、釣船「とびうお」について、運輸安全委員会報告書や判決文はヒラガナ表記となっているが、本稿では読み易さを優先してカタカナ表記とした。
(編集部)


事故直前のおおすみの対応
※高裁認定による。㋣はトビウオ
7時47分頃:針路を210度へ
54分頃:針路を180度へ
55分頃:実速度16・6ノット
㋣は左前方約60度、距離1㎞
56分15秒:以降㋣をレーダー捕捉できず㋣の針路・速度は不明
57分02秒:実速度17・4ノット
㋣との距離670m(証言)
58分49秒:15ノットへ減速指示
59分03秒:音声「避けられん」
同13秒:12ノットへ減速指示
同17秒:音声「このまま行けると思ってるんだろうな、怖いよな」
同25秒:左見張員「左50度同行の漁船距離近づく」と報告
同27~34秒:音声「向こうは怖くないんかな」「怖くないんでしょうね」「いつでもよけれると」
同38秒:6ノットへ減速指示
同40秒:機関停止と汽笛指示
同43秒:面舵一杯指示、汽笛が実際に吹鳴(同55秒まで計5発)
同51秒:実速度17・1ノット
同54秒:後進6ノット指示
同57秒:実速度16・6ノット
8時0分0秒:1回目の衝突、
一旦離れ2回目の衝突で㋣転覆


Ⅰ 判決や事件全般への感想
司会:最初に、高裁判決やこの事件全般についての感想を。
柿山:地裁で証人になったのは、昔のなだしお事件では、研究者や東京湾水先人会の役員、保安庁出身者など海事関係者が積極的に発言していたが今度のおおすみ事件ではゼロ。これじゃあイカンと思って証人に立った。
 裁判官は私へ、漁船が大型船の前を横切ると大漁になるという迷信からトビウオは右に曲げたのかと本気で質問してきた。そのことが忘れられない。彼らのストーリーはいつも漁船への蔑視に貫かれている。おおすみの乗員は誰もトビウオの右転は見てないと証言していたのに、判決では見張員が見たかのように曲げて解釈している。アレ、変だな、わざわざ違うストーリーを作ってまでトビウオに罪をなすり付けるのかと思った。
 なだしお事件の時は瓦防衛庁長官が引責辞任、あたご事件の時は対応の遅れを批判され、当時の石破防衛大臣は内閣改造で替えられたと本人が言っていた。これ以上失点は許されない、自衛隊には瑕疵は一切許されないということだと思う。
高橋:感想を二つ。おおすみの艦長は、衝突の5分も前からレーダーでトビウオを全く捕捉できない状態で、トビウオが横切るのは100ⅿ先とし、衝突の恐れはないと判断してそのまま走ったというが、強い違和感を覚えた。新米の航海士の頃から軍艦を見たら離れて通れ、とにかく近づくなと先輩からよく言われた。先輩の言葉は未だに通用するのか、やはり軍艦は信用できないということが一つ。
 もう一つはレーダーの問題。おおすみのレーダー員は1キロ先のトビウオを捕捉できず、そのまま衝突まで探知できなかった。高裁判決は海面反射を理由にしているが、ずっと8マイルレンジのままでは、捕捉できないのは当たり前の話だ。通常の商船だったら小さなレンジにしてすぐ把握する。しかもレーダーの時刻設定に1分6秒も遅れがあった。税金で給料を賄う自衛官のずさんさ、無責任さが際立っている。こんな状態で防衛費の増額要求には腹が立つ。
 レーダーを適切に運用して、艦長や見張員がちゃんと任務を果たしていたら事故は起きなかった。逆に、任務を果たしていたと言うなら、自衛隊側が証拠を改竄したか、都合の悪い証拠を隠していることになる。
飯嶋:判決を読むと裁判官は海の事故について疎い感じがする。600mは遠いから関係ないなど、自動車事故と同じ感覚でいるようだ。やはり海難審判庁が審判所に格下げになったことと、海上自衛官が海難審判を受けなくなったことの影響が大きいのではないか。
大内:この裁判で五つのことが明らかになったと思う。
 一つは自衛隊の意識。艦橋音声記録によれば衝突する前に3回ほど他の船に「あの船はこちらを視認しているか」と確認している。向こうがこちらを見ていれば当然向こうは避けるからこちらはこのまま進めという態度がはっきりしている。またおおすみは第1戦速(標準変速表では18ノット、事故時は点検前で17・4ノットに落ちていた)で走っているが、大型船はそう簡単に止まれない。なぜ原速の12ノットで走らないのか。これも傲慢な態度だと思う。
 二つ目は自衛隊の秘密体質。裁判で請求するまで資料をほとんど出してこなかった。事故調査報告書を公表しているが、結論部分のわずか3頁。全文出せと裁判で請求してようやく出てきたが、そこにはおおすみは情けない船だったということが沢山書かれていた。 
 裁判が始まった当初、自衛隊側は衝突時間は分からないと言っていた。AIS(船舶自動識別装置)記録も持っていないと言っていたが検察には提出していた。ところが、あまりにもずさんな記録なので検察は使えないと言って、民間のAIS記録を使っていた。音声記録も装置は3つ搭載していたが2つしか提出していない。
 三つ目は自衛隊の技量不足。衝突時は航海長が当直していたが、横にいる先輩の船務長の助言を受けながらやっていた。レーダーのレンジを遠距離用にしていた件も同様だ。見張員もトビウオがこちらを見ているか確認するよう命令されて、14秒も経ってから「見てます」と答えている。これでは軍艦として役に立たないのではないか。とにかく自衛隊は船を動かすのが下手だということがわかった。
 四つ目は、自衛艦の装備が老朽化していること。おおすみは船齢25年でレーダーはブラウン管。艦内の通信機器も性能が悪くて何回も聞き直すという場面が沢山ある。これも危険な事ではないかと思う。
 五つ目は、司法反動の進行ぶりが酷いこと。地裁では、こちら側が出せと言った資料はとにかく出させた。何度も法廷を開くなど丁寧な進行をしたので少しは期待していたが、結論は非常に悪かった。高裁での審理は事実上1回だけ。やはり国に盾突く裁判官は、定年近くにならないと良い判決を出さないのかなと、そういう感想を持った。
 事故そのものについては、トビウオ乗客の寺岡さんに聞いたことだが、事故当時、危ないとか、逃げろとか怖いとか誰も言わなかった。衝突するまではごく平凡に走っていたということだろうと思っている。
竹中:一番感じたのは、高裁判決も運輸安全委員会報告も、衝突直前の両船の動きの推定、トビウオが直前に右転したか否かに焦点を当て過ぎていること。
 そして、トビウオは前方100m、運輸安全委員会の推定では60m先を通過する見込みだから「衝突のおそれはない」と判断してそのまま進んだ艦長の操船は問題ないと言う。100mにしろ60mにしろ目と鼻の先だ。しかも17・4ノットの高速。トビウオのエンジンが急に止まったらどうするんだ。
 そもそもそういう状態にもっていっては、いけないのではないか。だから、衝突6分前のおおすみの変針、変針自体は問題ないとしても、17・4ノットに増速してトビウオに近づいて行ったこと。ここを問題にしなければいけないのに、裁判所も運輸安全委員会も、いったいどういう感覚なんだと思った。
この判決がまかり通れば、荒っぽい操船がはびこってしまう。


Ⅱ 衝突原因は何か
1.トビウオ右転は事実か?

司会:衝突直前のトビウオの右転が原因ということですが。
大内:トビウオ右転の客観的証拠はなく、一つは56分頃トビウオは針路201度、おおすみは180度で、そのまま進むとすればトビウオが右に曲がらない限り衝突しないはずだということ。
もう一つは、おおすみの乗員4人が、少しずつ表現は違うけれど、トビウオが右に曲がったというようなことを、結局は証言しているではないかという裁判所の判断。いずれも推測でトビウオ右転を結論づけている。
 原告側はトビウオの201度は怪しい、おおすみ乗員の証言は信用できないと言っている。
高橋:おおすみの針路と速力はAIS記録という証拠があるが、トビウオは証拠がない。乗客の寺岡さんは右転してないと言い、自衛隊側は右転があったニュアンスで、高裁判決からではよくわからない。
しかし、衝突した事実がガンとしてある以上、被告のおおすみに問題がなかったのかを問うのがこの民事裁判なので、トビウオが右転したかどうかはあまり大きな問題ではない。予防法に則しておおすみはなぜもっと早く避けなかったのか、早く警告信号を出さなかったのか、早く減速しなかったのかと。
 そういう意味で運輸安全委員会が、おおすみがもっと早くその様な行動を取っていれば衝突は避けられたと言っているのは、まともな考え方だと思う。要は、おおすみの動作が遅かったという話ですね。
飯嶋:裁判所はトビウオがそのままのスピードでまっすぐ進んでいればおおすみの前を横切るはずだったのに突然右転したから衝突したと結論づけた。
 しかし、事故後の調査でトビウオのクラッチレバーは中立でスロットルレバーは下から2番目でほとんど出力がないとメーカーが指摘しているのに、裁判所はその点に全く触れていない。クラッチを中立にした時間は不明だが衝突前であればスピードが落ち、交差する時間が早まるのは当然だ。
 また、おおすみの乗員がトビウオの右舷側が大きく見えてきたから右転したのだろうと証言しているが、近づけばサイドが大きく見えるのはあたり前で、誰も実際に右転したところは見ていない。右転説は間違いだと思う。
大内:なぜ接近したかについて、原告側は吸引作用と言っています。670mの距離で、大型船なら当然吸引作用が働いてもおかしくない。岩井聰教授の『操船論』では、一般に両船の長さの和以下の近距離に入ると相互作用が起きる。その2分の1程度の距離に達すると急激に増加し、接触や衝突を起こす危険があるということです。
柿山:大きい船同士なら吸引作用がある。吸引と反発を繰り返して近づいて行くと。この事故では2つの船の長さの和が200m弱、その半分の100m弱になったので吸引作用が働いたということですね。

海上保安庁の航跡推定図(左側がおおすみ、海上保安庁捜査記録より一部拡大)


高橋:吸引力が働くのは二つの船の間隔が狭くなると海水が早く流れるから吸引されるという理屈、サイフォン現象だけど、今回は178mと8m、8mのトビウオの付近しか早く流れないような気もする。本の前提が分からないので。そこまで吸引されるかというと直感的にはどうかなあと思う。
竹中:判決はとにかく原因をトビウオにするため、こじつけ論法で吸引作用を否定している。
柿山:トビウオの進路について言えば、運輸安全委員会ではトビウオは阿多田島に入るような方向に走っていたという目撃者である重機船の船長の証言が大きく扱われている。しかし奥さんの栗栖さんは、うちの人はそんなことをする人じゃない。そもそも阿多田島に上がる理由はないと言っていた。しかも、この船長は双眼鏡でなく肉眼で1・4キロ先の船見て、波が両側に出ていたからこっちを向いていたと言うに過ぎない。この証言はどう見ても怪しい。
大内:重機船の船長を是非裁判の証人として呼びたかったが逃げてしまった。
 他におおすみの甲板上から見たという証言が運輸安全委員会の報告書に3つあるが、すべて汽笛が鳴ったので海の方を見たというもの。判決は、汽笛が鳴る前にトビウオが右に曲がったということだから矛盾している。おそらく吸引作用で近くまで寄せられた時のことだと思う。
 結局、トビウオが実際に右に曲がったところを見た人間は誰もいない。
竹中:当時甲板にいた三等海曹は、衝突直前にトビウオが「おおすみの左舷艦首の横50mを追い越す体勢」と証言し、判決はこれを採用して、この時両船が並行だったと認定している。2回目の汽笛の後だから衝突の12秒くらい前だ。これが事実ならおおすみがトビウオに追いついたことになる。
 判決によれば、トビウオとの距離は180度に変針した後の57分に670m、59分30秒は180mで、どんどん近づいている。また、両者が並行で50mも離れていれば、おおすみが面舵一杯など取らずに、急停止すれば良かったことになる。
 トビウオの速度と言い針路と言い、判決は矛盾だらけだ。

 
2.おおすみのキックで転覆
司会:おおすみの面舵一杯によるキックの影響については?
大内:1回目の接触はおおすみの面舵一杯の後で、それは接触しただけで、それからまた10m離れている。まだキックの働きは大きくなっていないので離れることができた。
 2回目の衝突はキックによるもので、その結果転覆した。このことは地裁も高裁も認めています。これはおおすみの左舷横に船首付近から擦り傷がずーっと続いて一旦途切れ、船尾にぶつかった跡があるので分かるわけで双方に争いはない。
柿山:転覆の原因はおおすみの面舵一杯によるキックと認定していながら、おおすみに過失はないと言うのはおかしい。キックがなければ2回目の衝突はなかったわけだから。僕も証言で言ったのは、本当に切迫状態だったら、おおすみはむしろ左に舵を切るべきだったと。
飯嶋:衝突直前にトビウオはおおすみの左舷から10m離れていたと乗員が証言しているから、おおすみが右に曲げずに真っ直ぐ行けばそのまま通り過ぎていった。おおすみが右に舵を切ったために船尾がトビウオをはねたわけだから正しい避航方法ではない。一番近いところから見た乗員の証言が、なぜか裁判では採用されていない。
大内: その乗員は原告側が証人申請したけど認められなかったので裁判には出てきていない。しかし、運輸安全委員会の報告書に供述が出ている。
飯嶋:結局、トビウオを避けようとした結果なので、キックで転覆させてもやむをえないという理屈で、おおすみの無罪を証明するためにトビウオ右転説に全てを集中させた。しかし、トビウオ右転説の証拠はないし、仮に右転があったとしても、その時は近づいただけで衝突していなかった。全てこじつけだ。


Ⅲ おおすみ操船上の問題点
1.おおすみの「衝突の予見可能性」

司会:判決には「衝突の予見可能性」という言葉が出てきて、おおすみに予見可能性はなかったと結論付けていますが…。
飯嶋:判決には59分30秒に衝突の危険を感じてさらに微速に減速したと書いてある。だから彼らの理屈からしても、遅くともその時点では衝突を予見したことになる。
大内:59分29秒に左見張員は同行の漁船距離近づくと報告している。これを聞いて、36秒に微速を指示している。その前後に「向こうは怖くないんかな」、「怖くないんでしょうね」という音声記録があるし、その前の59分6秒には「避けられない」、15秒には「前を行けると思っているのかな」と言っている。
 この辺でもう危険は感じているわけです。
竹中:おおすみの乗員は冗談のつもりで言ったなどと裁判で証言しているが、この証言自体に自衛隊の体質が現れていると思う。この時点で衝突の危険を感じていたことが音声記録にはっきり出ていて、裁判官も認めている以上、あいまいな減速ではなく、はっきりとクラッシュアスタン(全速前進から即全速後進へ操作)すべきだった。そうすれば事故は起こらなかった。
 しかし実際には、58分48秒に強速(15ノット)、59分13秒に原速(12ノット)、38秒に微速(6ノット)と減速の指示を出し、実際にスピードが17・1に落ちたのは59分51秒。衝突のわずか9秒前だ。    0・3ノット落ちるのに1分以上かかっている。明らかに減速が遅かった。
柿山:海上交通安全法の適用域で速度制限はなかったとしても、これだけの大型船で、しかも周囲にまだ島がある広島湾内で17・4ノットは、いかにも早い。判決は100ⅿ先でトビウオが通過するから衝突のおそれがないという艦長の判断を良しとしているが、 あまりにも短かすぎる。本当にもう目の前で、何かあっても避けようがない。
 それと、チャートで確かめたんだが、おおすみの180度への変針点というのは僕らの目から見たらずいぶん西側だなと。もっと手前から南に曲げるのが普通ではないか。クダコ水道を通って、来島海峡から玉野に向かうはずなので、わざわざ阿多田島にこんなに寄る必要はない。
 左前にいるトビウオのお尻に向けて先に行かしてしまうのが普通だが、そういう柔軟性がないのではないか。
大内:「変針3分前、次のコース180度」という音声記録が残っている。自衛隊の航海計画はかなり詳細で、どの地点で何時何分に何度に曲がると詳細に決められているので、それに沿って動かそうとする無理があるのじゃないか。
 奈佐見瀬戸を出た段階から第一戦速で行くと前もって決めているので、それを落としたくないという考えが働いたと思う。
飯嶋:海上衝突予防法6条「安全な速力」には自船の停止距離を顧慮して安全な速力で航行しろとか、8条「衝突を避けるための動作」には「できる限り十分に余裕のある時期に、ためらわずにその動作をとらなければいけない」とある。
 今回のように高速で走って、しかもギリギリになって少しずつ3段階で速度を落としたのは、明らかに予防法違反だ。
高橋:トビウオが100m先を通過するから衝突の恐れなしと艦長が判断したことは妥当と裁判所は言うが、レーダーが感知不能でトビウオの角度やスピードもわからないのに判断できたのが不思議だ。まるで野球の野村監督のカンピューターみたいだ。法廷用に作った出来の悪いシナリオとしか考えられない。
司会:高裁は100ⅿ先、運輸安全委員会は60ⅿ先を通過するから安全と言っているが、いずれにしろ余りにも近すぎるというのが皆さんの結論ですね。


2.汽笛吹鳴の遅れ
高橋:もう一つは警告信号が典型的だけど、高裁判決ではおおすみが面舵一杯を切る3秒前、運輸安全委員会報告では同時となっている。こんな事は船乗りの常識としては100%ありえない。こんなことをやるかなと言う感じで順序が全く逆だ。
 警告信号は注意喚起が目的なので、面舵を取るずっと前にやるのが当然ではないか。
飯嶋:警告信号は59分43から45秒。衝突のわずか15秒前から5回鳴らしただけ。面舵一杯を取る時には短一発を鳴らさなければいけないがそれもしてない。明らに予防法に違反している。


3.レーダー取扱い違反
高橋:おおすみがトビウオをレーダーで補足できたのは2回。1回目は55分で2回目は56分15秒。それ以降は捕捉できなかった。判決は海面反射の影響と言うが全くおかしい。ずっと8マイルレンジのままで、なんじゃこりゃと思った。2マイル、1マイルと順次レンジを変えればいいだけの話だ。
大内:この点、自衛隊は調査報告書に「適切にレーダー調整を行っていなかったため、近距離のトビウオを探知することができなかった」とはっきり書いている。自衛隊自身が落ち度を認めている。にもかかわらず裁判所が海面反射を理由にしているのは非常に問題だ。
柿山:その点松村弁護士は法廷で、レーダーの取り扱いについてETCとかFPCとか機能を色々聞いたが、自衛隊側の証人は答えられなかった。操作方法もあいまいだった。
竹中:予防法6条、7条にレーダーの使用義務として操作方法まで細かく書いてある。これに全部違反しているのは明らかなのに、判決は海面反射の一言で自衛隊に不利な証拠は一切無視してしまっている。
 レーダー一つ見てもおおすみの違反は明らかで、海難審判だったら認められないと思う。
高橋:裁判官が全くレーダーに無頓着か、意図的に自衛艦に忖度していることが見え見えだ。
柿山:レーダーの時刻設定の遅れも、全く考えられない。今はエグジスで自動的に連動しているが、仮に手動で設定するにしても、レーダー員はそれだけが仕事なんだから、いくらなんでも管理がめちゃくちゃだ。
高橋:これは怠慢で仕事がずさんだ。それにしてもCIC(戦闘指揮所)に居るレーダー員が捕捉できなかったら、艦長や航海長が自分でレンジを変えればいいだけだが、艦橋のレーダーはレンジ調整もできないモニターなのかな。
大内:CICでは上官がなんで捕捉できないのか、これじゃないのかと違う目標を示して、だから安全だと判断した。CICには窓はなく画面だけ見るところで外が見えないんです。
高橋:それは最悪だ。レーダーは実際に外の物標を目で見て、波の状態とか船の種類や大きさ、向きを何回も自分の目で見てレーダー映像と比較して、ようやくわかるようになるものです。
柿山:レーダー員の問題を含め、自衛艦の艦橋の人間の多さも問題で、こんなに多いと指揮系統が遅れたり混乱してしまう。商船に乗っている我々からすれば、本当に贅沢に人が乗っている。その影響もあったのではないか。
大内:この時艦橋には当直でない人間が6~7人いた。当時狭水道通過訓練で特別に乗っていて、新入りの若い人たちに見せるために当直士官のすぐ横にくっついて船務長が助言していた。それもこの事故と関係があるのではないかと言われていた。
 おおすみで使っていたレーダーはOPS28D。CICではこのレーダーからの情報をOPS3Eレーダー指示器で見ていた。艦橋のOPS6D指示器でも同じレーダーからの情報を見ていた。しかし目標のプロットはCICでしていたのです。
竹中:今時信じられない。僕らが乗っている500トンの内航船でもレーダーは二つあって、それぞれレンジを変えたり、単独で操作できる。予防法は国際条約でしょう?国際法違反じゃないのかな。
大内:おおすみにはレーダーは三つあって、使っていたのは一つだけ。他の二つは戦闘用で普段は使っていないのです。
高橋:という事は普通の航海用には1台しかないのと同じ。だとしたら怖いね。1台壊れたら大ごとになるからそのために2台ある。これが事実だとしたら自衛隊はひどいね。技量もひどいし設備もひどい。余談だけど、これでは恥ずかしくて外国に知られたくないね、最大の軍事機密だよ。(一同笑い)

4.「漁船はこちらを視認しているか」で判断
司会:漁船はこちらを視認しているかと度々聞いていますが。
高橋:この言葉自体を初めて聞いた。こんなこと発想したこともない。わざわざ見張員に聞くということは、漁船がこちらを見ていれば避けずに、このまま行くということだ。一般の商船ではありえない。漁船の中を見ても、せいぜい人影が見える程度で、仮に顔がこっちを向いていても、視認しているかどうかなんて分からない。
 そもそも予防法は接近する他の船のコンパス方位に明確な変化がなければ衝突するおそれがあるといっている。「こちらを視認しているかどうか」で衝突のおそれを判断することは論外で呆れてしまう。
柿山:見張員は双眼鏡で見て、顔がこっちを向いているからこちらを視認していると回答している。普通商船では、漁船がどういう作業をしているか、網をあげている最中かとか、そういう状態は見るけど、こちらを見ているから避けるだろうと推測で判断することはありえない。
竹中:車の運転で言えば、推測に基づく「だろう運転」はダメと教習所が教えている。実際の動きでこちらの動作を決めるのではなく、相手の顔を見て目の動きで判断するとは、まるで魔法使いだ。(一同笑い)

Ⅳ 高裁判決の問題点
1.「衝突のおそれ」の小間切れ解釈の誤り

司会:判決は、「衝突のおそれ」は58分43秒にいったん解消して、その47秒後の59分30秒に再度発生したとして、田中艦長の判断をそのまま踏襲している。この解釈はどうですか。
高橋:このような漁船に対して、ある時点でこの航法が適用になるとか、ならないとかいう解釈はそもそもおかしい。海難審判では普通そのような瞬間的な話でなく、もっと長期的なスパンで見るのではないか。短時間でその都度法律の適用を変えるよ
うなことはしないと思う。
柿山:こんな小間切れ解釈はおかしい。衝突の恐れの前提とし
ては一定の時間見合い関係が続いていなければならないはずだ。
 海技大の航海法規の岩瀬先生は横切り説をとった。この場合、トビウオ側に避ける義務があったとしても、トビウオが適切な動作を取っていないことが明らかな場合、おおすみは直ちに衝突のおそれを避ける動作をとることができる、というのが衝突予防法の規定だ。
 海技大ではシュミレーターで、この事件を再現して実験したが、おおすみ艦長役となった船長経験の長いベテランほど汽笛を鳴らした上で、さっさと減速や大きく右転をして見合い関係になることもなかった。
竹中:予防法の7条「衝突のおそれ」には、不十分なレーダー情報に基づいて衝突のおそれを判断してはいけないとか、コンパス方位に明確な変化が認められる場合でも、衝突の恐れがあることを考慮しなければならないとか、色々規定がありますね。

おおすみ変針時の動き(A船):44分の速度(ノット)約11・7から50分17・3に増速して変針し、15・3のトビウオを追う形となった。運輸安全委員会報告書より


高橋:これは方位の変化があっても、小さな船や風圧面積の大きい自動車船が低速で動いていると、潮の流れや風に流されてぶつかってくるんですよ。あるいは明確な方位の変化があっても、漁船は魚が相手なので、急に針路を変えたりエンジンストップする時もある。
 だから憶測で判断するなということを予防法は言っている。
飯嶋:恐れがあるかどうかわからないときは、衝突の恐れがあると判断しなければいけないとも書いてある。高裁判決は予防法7条を完全に無視している。
高橋:このとき艦橋では方位がわずかに上っているとか言っているけど私の感覚ではほとんど変わっていない。判決は、1分間に角度にして3度変わったから明確にコンパス方位が変わったという解釈だけど1分間に3度というのはどうだろうか。
柿山:いやぁー、3度なんていうのはほとんど変わっていないのと同じ。特に小さい船は揺れたりいろいろ動くから明確な方位の変化とは言えないと思う。
竹中:「衝突の恐れ」「衝突の危険性」「衝突の蓋然性」の三つの言葉が判決に出てくるが、違いが曖昧で、言葉でごまかしているように感じる。その点予防法は、衝突の恐れと切迫した危険の二つがあり、これだけは言えると思うのは、最後の30秒間は38条の「切迫した危険」状況ではないかということ。
 そうすると汽笛を鳴らしたのは59分43ないし45秒頃からで計5発、スピードが実際に落ちたのは51秒だから、明らかに遅い。38条違反ははっきりしていると思う。(一同、うなずく)


2.衝突予防法の無理解
高橋:高裁判決がおかしいと思うのは、「トビウオ側の主張は後付けで艦長の責任を特定しようとしたもので受け入れられない」と言っている。この言い方は馬鹿げた話だ。海上の船舶同士の衝突の裁判は  全て後付けで、衝突したという事実から遡って後付けで原因を考えるのは当然のことだ。
 田中艦長の考えや判断に関係なく、衝突を避けるにはどんな予見が可能だったか、どう操船すべきだったかというのが予防法の考えだ。最終的には38条に明確に書いてある。「切迫した危険を避けるためにこの法律の規定によらないことができる」と。
 横切関係の時はどうだ、追い越し関係の時はどうだと詳細にルールを決めてきて、最後になって切迫した危険がある時には「この法律の規定によらない」よと。とにかく衝突を避けろというこの法律の真髄が現れている。陸の道路交通法と根本的に違う本質的部分だ。
 だから衝突した事実がある以上、両方とも悪くて、片方だけが100%悪いということはありえない。逆に言うと、そういう状態に陥らないように操船する、予防法の衝突のおそれが適用されるような状況にしないのが普通の船乗りの操船。それが船員の常務ということだと思う。
 確かに判決が言うように、横切り関係の場合は、避航船が適切な動作をしない時は、保持船のおおすみは針路を変えることができ、その場合左に舵を切るなと予防法17条にある。
 しかし、面舵一杯によるキックでトビウオが転覆した結果からすれば、その時は、衝突が目の前の切迫した事態で、17条が適用される時機は過ぎていた。そういう時には保持船か避航船かの区別なく、とにかく衝突を避ける操船をしろと言っている。そういう予防法の成り立ちをこの裁判官は理解していない。


3.ずさんな判断。最終局面ではおおすみが追い越し船?
飯嶋:判決自体が矛盾している。
 衝突30秒前におおすみとトビウオの「距離は180mであり、トビウオがおおすみの正船首方向から155度の位置にあった」と言っているが、この位置関係ではおおすみが、トビウオを完全に追い越していたことになり、有り得ない。
 仮に、正船首方向からの「実角度」ではなく、コンパス方位155度の間違いだとすれば、おおすみが左前方を行くトビウオを追い越す状態になり、おおすみが避航義務船になる。おおすみの針路は真南の180度、トビウオは左前方25度(約11時)の方向で針路も平行に近い201度ということなので。
柿山:横切りか、追い越しかの基準は予防法13条で、「船舶の正横22・5度を超える後方の位置からその船舶を追い越す船」が追い越し船になり、その位置からは前の船の夜間舷灯も見えないようになっている。従って両船の針路が同じ場合、前の船を67・5度(90―22・5)より小さい角度で見る船で、速度が速い船は追い越し船になる。
 この場合は、両船の針路の差21度(201―180)を考慮して、おおすみが46・5度(67・5―21)の範囲内でトビウオを見る位置なら両船は横切り関係になるが、25度はそれより後方なので、おおすみが追い越し船ということになりますね。
高橋:この時おおすみは17・4ノットで、トビウオより速度が速い。計算すると30秒で270mぐらい走り、判決によれば、実際に59分48秒頃にはトビウオに追いつき並走している。
飯嶋:結局、横切り関係から次第に近づいて行き、トビウオをコンパス方位155度、つまり左前方25度に見るようになるまでの何処かの時点で追い越し関係に変わったということだ。判決は、59分30秒頃トビウオが右転したと言うが、少なくともそれまでの間は、おおすみが追い越し船ということになる。
いずれにしても、この高裁判決はあまりにも杜撰だ。
高橋:事実の認定により、過失の有無を判断するのが裁判の目的なので、トビウオの動きや落ち度だけではなく、おおすみの過失の有無を予防法に照らして逐一検証することにも焦点を当てるべきだ。
 そうすると、少なくともおおすみは近づかないよう、早めに減速したり舵を切ったりしなければいけなかったという事が見えてくる。とにかく実際におおすみのやることが遅すぎた。それが衝突の一つの原因であることは確かだと思う。そして最後の決め手が面舵一杯に舵を取ったということ。

Ⅴ 自衛艦事故の問題点
司会:証拠がなかなか出てこないという問題について。
大内:自衛隊は刑事裁判を怖がっていて、刑事裁判がないとわかった後に出してきた証拠が多い。これは大変問題だと思う。
 裁判所を通じてしか海保の捜査記録は出てこなかった。自衛隊の艦船事故調査報告書の全文も裁判所を通じて出させたわけだが、刑事事件にならないと分かってから出してきた。
 AIS記録も当初は持っていないと言ってたが、実はあった。しかし結局出さなかった。AIS記録は海保の記録中の民間のものです。
 音声記録も三つの音声記録装置のうち、海保の捜査記録で左右の二つが提出されただけで、肝心の中央の音声記録が出されなかったのはおかしな話だ。
竹中:おおすみ乗員の聴取記録も未だに出て来ていない。
大内:あたご事件の時、海保はかなり長期間、船から全員下ろさないで缶詰にして聴取をしたのに、この事件の時はすぐ帰してしまった。聴取記録も黒塗りのものすら出てきていない。実際にはあるけど隠している。一方、自衛隊の報告書の聴取記録は全部真っ黒で提出された。
 結局、運輸安全委員会も含めて計3回の聴取があったにもかかわらず、それぞれの報告書に要約のような形で引用が載っているだけで、艦長や乗員がどういうことを言っているのか法廷で証言するまで分からなかったのが実態です。
竹中:引用というのは、自分の結論に沿う部分を引用するだけなので、遺族にすれば真相を知るためには記録の全部を見たい。そうでなければ裁判も真実に近づくことができない。
 軍事機密を盾にしているのか、自衛隊相手の裁判ではそれが叶わないということでしょうか。刑事裁判があれば別かも知れないけど…。
大内:刑事裁判がないと決まった時点でマスコミが完全に引いてしまったのも大きい。
 あたご事件の時は通報の遅れや、政府の対応の遅れが大変問題になった。それを繰り返すなということで、中国新聞の報道で「政府は傷口拡大防止に躍起」の見出しが出たほどです。
 あたご事件の時は民主党が政権を取るかどうかという時期で、野党もあれほど国会で追求していたが、この事件では国会で全く問題にしていない。そういう政治的背景もあります。
飯嶋:この事故が起きてすぐ、当時の菅官房長官と小野寺防衛大臣に官邸危機センターから報告が入り、防衛省を含む事故対策会議を開いて対策を練ったと報道された。当時の菅官房長官のやり方を見れば、自衛隊に傷をつけないためにどうするかということで考えたのがトビウオの右転説で、全部罪をトビウオにかぶせようということではないか。官邸からの圧力で、裁判官も忖度してトビウオ右転説で全部をまとめたのではないか。


Ⅵ 判決が船員に及ぼす影響
―海上衝突予防法は国際法―

司会:この判決が船員に及ぼす影響は?この種事故を防ぐためにはどうしたらよいのか。
飯嶋:航海当直に就く海上自衛官には、全員海技免状を義務付けて海難審判の対象にすべきだ。あまりにも予防法を知らなすぎる。
高橋:でも職場環境の問題があるから、免状を取っただけでいいかどうか。免状だけじゃインターンみたいなものだから、何をやるかわからないよ。
 今回のこの話を聞いてひどいなぁ、これじゃ事故起こすのは当然だと思った。基本的に自衛艦は「そこのけ、そこ退け」の発想だから、現実問題として自衛官に操船の技術をどうやって学ばせるかということだと思う。
 事故が起きて処罰されなければますます事故は起こるわけで同じことの繰り返しだ。事故が起きてあの時失敗したなと思えば、やはり組織は変わるし、誰も処罰されなければ、組織というものは変わらない。だからちゃんと処罰すべきで、不起訴にしたこと自体がおかしい。
竹中:この判決が確定してしまえば、60ⅿなり100ⅿで船首をかわすようにすれば構わないという、荒っぽい操船にお墨付きを与えることになる。無謀な運転がはびこって、ニアミスが増えてしまう。
そもそもそういう局面に陥らないよう、前もって動作しなければダメというような風土にならない限り、この種事故はなくならないと思う。
大内:やはり海の事故で一方は100%悪くて他方が0%というのはものすごく変です。見通しの良い海上ですからね。
柿山:対等でなければいけないと思うんですね、平和な海では。それを担保しているのがルールで、誰であろうと海上法規はきちんと守らなければいけない。
 海上自衛隊では、宮崎沖や高知沖で「あさしお」や「そうりゅう」の事故があった。いずれも潜水艦の浮上訓練中の民間商船との衝突事故だ。今回のおおすみ艦長は一級海技士の免状持ちだったがそれでも自衛官ということで海難審判から逃れた。
 例えば船員法で自衛艦はAISのスイッチを切っていても構わないことになっている。自分の位置を知らせないために。軍艦にはそういうことが通用する。
 水先人になるにしても、普通は一級海技士をとって船長経験を積んでなるのだけど、退職後の第二の人生が必要ということで自衛官には特例があって、三級持って艦長経験があれば良いと国交省が特例を認めている。
 平時であっても自衛隊だけは特別というそういう決まりがある。そこから、そこのけそこ退けという意識が自然と生まれる。それがこうした事故につながっているとしたら民間船乗りのわれわれは怖い。
高橋:この場合は自衛艦だったけれど、民間船同士の衝突でも過失割合が100対0もあり得るということになる。
 何が問題かというと、どちらがどういう違反をしても、とにかく衝突は避けなさいという海上衝突予防法の精神が損なわれる。何としても衝突を避ける操船をすることが船員の常務というもので、これはシーマンズプラクティスやグッド・シーマンシップの略語だ。
 予防法は国際法だから、世界中どの国でも同じ法律を使っている。日本だけが特殊で100対0の最高裁判決になると、世界とは違う特殊な解釈になり国際的には通らないと思う。自衛艦だって別に日本の領海だけ航海するわけではないのだから。ここが、予防法が道路交通法と根本的に違うところだと思う。その点を最高裁に言いたい。
 予防法の成り立ちの根本を崩すな、船員社会を混乱させるなということですね。
(6月5日収録)