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○黒油タンカー・機関長(60歳)
やっぱり船は人間関係

 この会社は給料が年収契約で、俺の場合は手取りで約700万円。それを12で割って毎月貰っている。給料にあまり不満はないね。組合船に比べれば安いかもしれないけど、この会社は居たいだけ居られるから。もうすぐ年金を貰えるけど、額が相当減らされるのが癪だね。損しないよう会社と交渉するかな。
 若い人も給料にあまり不満はないみたい。免状取ってくればそれなりに給料が上がるし、いつもこの船に戻るので荷物は置きっ放し。仕事にも慣れてきて、その分気楽でいいから結構居付いて、あまり辞めて行かない。
大きい会社は給料が良くても規則規則でがんじがらめだし、船の雰囲気が悪くて辞めて行くというのを良く聞くね。人手不足で乗船が長かったりスケジュールが密で、上の者に余裕がなくなって若い人に八つ当たりしたり。やっぱり船は人間関係なんじゃないかな。この船は定員は6人だけど、順番に休みを取るから5人の時が多い。でも何処もそんなもんじゃないの。
 若い人にとって、問題は休暇かなあ。3ヵ月乗って1カ月休暇は若い人には長すぎるのかもね。オタクの会社は2ヵ月乗って20日休暇?それくらいがちょうど良いんじゃないの。休暇計算?年収契約だから休みが短くなった分、金をくれるとか、そういうのはない。休暇計算というのはないね。
 黒油タンカーが足りないらしくてずっと忙しいね。月に10航海以上が当たり前。14~15航海になると嫌になるね。毎日荷役している計算になるから。あまり忙しい時は船長がオペレーターに言って仮バースを取って貰うようにしている。オペレーターも結構言うことを聞いてくれるよ。慣れている船が良いし、体が続く限りずっとこの会社にいるつもりでいる。(談)


○外航OB
標準運賃制度の復活を

内航海運の人手不足は相当深刻ですね。若い人がせっかく入ってもすぐやめていく。3か月乗船、1か月休みの体制は、今の若い人には合わないのじゃないか。
しかし、7月に船員部会が出した「船員の働き方改革の実現に向けて案」の(3)休暇取得のあり方(基準労働期間の取り扱い)は、「労使双方からも基準労働期間自体の見直しを求める意見はなかったことを踏まえれば、法令により定める基準労働期間については現行の取り扱いを維持することが適当」と。
これでは、若い人は定着しません。役人らしく、総論はきれいな字句を並べても、本音は、船主に金のかかることは避ける。現状維持志向そのものです。これでは、働き方改革を議論する場にならないし、海員組合も意見がないとは情けない限りです。「運賃・用船料の水準低下には、根本的な業界の仕組み、荷主との関係性などを含め検討していく必要がある」と述べているが、役人らしい言い回しで、何もしないと言っているのと同じです。
この問題は、2005年の法改正でなくなった標準運賃、標準貸渡制度の復活を図るしか方法はないでしょう。あまりにも理不尽な運賃でも、現在の力関係では改正は不可能です。国会の場で現状をさらけ出して、標準運賃の設定を国民に訴えていくしかないでしょう。