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女性として内航船へ挑戦して 
(元車輌船航海士)

◯就職先の選択肢の少なさ
船会社に就職する時、通常の就職活動とは違い、自分で船会社にコンタクトを取って自分を売り込んでいく必要がありました。その際、電話口で女性はとらないと門前払いされたことがあったり、形式上面接はしてくれても、その面接でそもそも女性を受け入れる体制が整ってないと告げられることもありました。
設備的な問題やセクハラへの危惧などがあるのでしょうが、まだまだ、女性にとっては間口が狭い世界だと感じました。

◯船内設備は充実、快適
そんな中で私を採用してくれた会社は、数年前から女性を積極的に採用していたようで、運航船はどれも女性向けの居室やお風呂、洗濯機が備えられており、船によっては一般居住区とフロアを分けて男性が立ち入れないようにしているものもありました。フロア分けがない船でも、お風呂や洗濯機のある部屋に鍵をかけられるようになっており、女性に対する配慮を感じました。

◯体力面
内航車両船に乗っていたので、1日に2~3港(バース)は当たり前で、それが乗船中毎日続くので睡眠時間は一日トータルで4時間取れればいい方でした。そもそもそんな状況で、体力について議論するのもおかしいのかもしれませんが、やはり体力的には厳しいことの方が多かったです。常に睡眠不足で判断力が鈍っているので、正直、当直に入るのが恐いと感じることも多々ありました。
また、女性特有のホルモンバランスの崩れなどから、異常な眠気があったり、ダルい時でも、周りに伝えるのも恥ずかしいし、言ったところで理解してもらえるのかな?と思うこともありました。

◯セクハラ
 言葉のセクハラは、受け取る側の感じ方に依存するので、セクハラが「あった、なかった」と断言は出来ませんが、私が不快に感じることはありませんでした。ただ、一度在室中に男性上司に部屋を覗かれたことがあります。その場で、彼も何かと理由を述べていましたが、納得できないものでしたし、一度そういうことがあると、私の知らないところで居室に侵入しているのでは?と疑心暗鬼になったりして、その船を下りるまでは辛い日々でした。
また、私ではないですが、他の女性船員の下着が盗まれたこともありました。

◯女子だからと優しくされ、甘い評価になることも
 船長、甲板長、一等航海士の方々は50~60代の方が多く、中には私を娘のように可愛がって下さる方もいました。何かをするにも厳しさはなく、むしろいろいろ助けて下さったり、私の未熟な部分を補って下さることも多かったです。大変有難いことだったのですが、周りの若手航海士の嫉妬をかったり、自分自身の成長にも繋がらないので、それも善し悪しだと思います。

◯お茶の時間の会話についていけない。話題が合わない。
年配の方が多かったこともあり話題がだいたいパチンコ、酒、タバコ…。私はあまり詳しくないのでいつもその輪に入れませんでした。女性が集まれば、まず出ないテーマだと思います。

◯女性ゆえの不当な扱いを受けたとは思っていない。
内航船に乗っていた頃は、楽しいことや辛いことがたくさんありましたが、取り立てて女性だからといって不当な扱いを受けたと感じることはありませんでした(前述のセクハラ問題はありましたが)。
まだまだ女性が簡単に働ける世界ではないと思いますが、今後女性の船員が増えると嬉しく思います。私も又、5年程度の船員履歴ですが、そうした経験と海技資格を生かして、今後も海の現場で働き続けたい、と思います。   
(元内航船員・メール)