記事への要望・自由意見欄より (編集部)

 21号で、個々の記事についての感想を紹介しました。今号は、「今後取り組んで欲しい特集、企画」、「感想、自由意見」欄に寄せられた意見を紹介します。
3 今後取り組んで欲しい特集、企画
【内航若手船員】
若い船員のインタビュー記事を! 自分と同じような年代が何を考えているのか知りたい。今の羅針盤は年齢対象が高いように感じる。若い人が読みやすくなった方が良い。
【内航現役】
船を目指す人たちはどの部分で良い会社と悪い会社をランク分けしているか? また、どのように情報を入手しているか? 本音を掘り出すことが、組合の考え方の違いをアピールできる要素になるのではないでしょうか。
【海員組合執行部OB】
最近ではビキニ被災船員の記事のような、船員に実際に起きている具体的な記事を載せてほしい。
【海員組合執行部OB】
災害や事故補償・労災申請・遺族が裁判した例を載せてほしい。イザとなった時、現状では過去の参考例を探しようがない。
今の海員組合には経験が蓄積されていないので、支部へ行ってもチンプンカンプン。本部にも知っている人間がいなくなった。昔は安全福祉部の担当者などが自分で勉強してよく知っていたものだが。
【外航OB】
外航・内航・水産部門のデーターとして、例えば所属船員(海上・陸上別)や会社数、海員組合執行部員数等を、わかる範囲で少なくとも1年に一度掲載したらいかがでしょうか
【外航OB】
現在の路線を踏襲してほしい。
【海員組合執行部OB】
海員組合のあり方に関する辛口の記事を、今までの姿勢を踏襲して継続して載せて欲しい。
記事の内容も、賃上げや会社との交渉、企業倒産や解雇への対応、船主団体や政府との交渉など、組合の活動全般に広げて欲しい。それに対する、我々読者の反応も掲載して欲しい。

4 感想、自由意見

【内航若手船員】
内航船員の要望をのせて欲しい。
*船内のゴミ処理。ゴミ捨て場がなく担当として困っている
*船は疲れる。仮バースが最低週一回欲しい。労働協約では週一回休みとなっているはずだ。飯の問題(自炊や買い出しの不便、食堂や台所の使い方でのイザコザ)はアキラメている。その分週一の休みがあればいい。
*洋上投票手続きの簡略化を。投票期限や郵送の問題で条件が厳しすぎて実際には投票できない。
【内航現役】
読者ターゲットの年齢設定が見えて来ない。資料として読むのか、情報として取り入れるのか迷うことがある。全組合所属船で読まれたなら、組合も困るでしょう。ここが本紙の活路だと思います。最後に、「今の組合は最悪だ」の中に良い所もあるという視線はないのでしょうか。懐の深さというか。
【船員OB】
編集部のご苦労に感謝します。雑誌「海員」はカラー刷りで金をかけている割に中身が乏しい感じで、「羅針盤」の記事のほうが読み応えがあります。結局真実とその方向性の正しさに引かれるのだと思います。
【若手船員の母親】
「羅針盤」を拝読して感じるのは、海員組合に対する疑問です。連合や全労連のような、各単組の発言力の大きさからくる迷走のようなものは無いのですが、何のために存在しているのか?今なにをしているのか?疑問を感じます。
また、海上労働に関する、「部外者からの関心」についても留意して頂けたらとも感じています。
 ネット社会の今、Twitterで有名になった「カンパチ船長」や、少なくない数の船員によるブログ、内航船員募集のキャンペーンなどで、船員という仕事に興味を持ち始めた人も増えていると感じます。
ある意味それは「陸の仕事」の過酷さや就労時の厳しい選別に疲れ果て、未知の分野に希望を見い出したいという現れと思いますが、そういった「未経験・転職組」をフォローできる体制が少なく、また離職する人も多いかと思います。
そのような人達への、フォロー(「仕事のやり方が分からない」とか、「船員の文化や習慣になじめない」不安に対する助言など)ができる場があればと感じています。
 船員募集の広報には良いことしか書かれておらず、現役船員さんのブログは、個人や会社が容易に特定されることを懸念してか、苦言や不満はあまり述べられていません。そういった中で受け皿になっているのが「2ちゃんねる」掲示板のようです。そこでのやりとりでは、海員組合は賃金の部分でしか登場していないように見て取れます。賃金はもちろん重要ですが、労働安全衛生や、職場におけるパワハラ、同僚からのいじめなどについて、ほとんどの新人が誰にも相談できず心を折られていく様子が推察されます。
以上まとめると、
*羅針盤は海上労働関係者のみならず、広く労働に関心を持つ方にもっと知られてほしいと思います。
*海員組合の問題点の指摘だけではなく、「こうあってほしい」という、海員組合のあり方提言などもあればと思います。現在の海上労働についての問題点は多角的に指摘されていますが、なぜそのような事態が常態化しているのか。その背景には何があり、それに対しどう手を入れるか、などの提言と、そしてなにより行動とその支援呼びかけもぜひ、と思います。
*未経験転職、新人部員などへのフォローができる体制を検討していただけないでしょうか。メールや掲示板などでの、助言だけでも大きいと思います。
船内では愚痴もいえない環境にある人も多いようですし、ただのガス抜きであったとしても、そういう場があることが今後の労働環境の向上には欠かせないと感じています。参考URLを記します。
◆2ちゃんねる:航空・船舶板:  船乗りなんでも相談室11
◆2ちゃんねる:転職板:船乗りへの転職
◆Twitter カンパチ船長

【外航OB】
「羅針盤」の信条として「思想、信条の違いを超えて自由に意見を闘わせ、共に考える場」が掲げられている。これからもいろいろな方面、いろいろな方達のレポが載ることを期待している。
【外航OB】
創刊から20号まで、よく続いたと敬意を表します。羅針盤をより良い物にするには「書き手」を増やすことに尽きると思います。職場(現場)からの通信がこうした紙誌の使命でしょう。細い縁やコネを頼りながら書き手を捜す。この1、2年は集中してやる必要があると思います。
【海員組合執行部OB】
羅針盤の名のとおり、今の海員組合の状況、活動のあり方を変える指針を示してほしい。今の状況は海上労働者に何ら希望を与えていない。なんとかしないといけない。まずは、組合の立て直しが必要。それを羅針盤に期待している。組合の現役職員、OBも是々非々で意見を述べていくことが必要ではないか。
【海員組合執行部OB】
退職後は海員組合や現場の情報が皆無でした。そんな状況下で本誌は唯一の情報源であり、貴重な存在です。今後も、海上労働運動の状況を詳しく報じて下さるよう熱望しています。
【海員組合執行部OB】
海員組合が裁判で敗訴し続けている意味、労働委員会で不当労働行為と認定されている意味をもっと掘り下げて、組合内だけでなく、広く世間に伝えてほしい。そうしないとなかなか変わらない。
【船員教育関係者】
 アンケートのお願いの文にあるように、「船員社会の再生と海上労働運動の復権を願い、思想信条を超えて自由に意見を闘わせる」ことをモットーにしていることに全く同感、創刊以来7年を重ねたことに敬意を表します。
 以下一般論として書いてみます。
 投稿者の範囲は、モットーの趣旨に沿いより広範にわたることを希望します。そのためには意見の質が多少落ち、文章が短くなっても良いので、 執筆者や配布先がより広がることが良いのではないでしょうか。
 「誌」の教育的側面も必要でしょうから、戦前・戦後の船員歴史の概要(職能団体のことも)も毎号取り入れてもらいたいものです。記述方法によっては、これは重要な特集になります。個別の闘争記事も大切ですが、全体的な闘争の歴史も「モットー」に役立つと思います。
船員の家族の問題、元船員の状況なども一体のものとして、総合的に取り上げてほしいものです(幅を大きく広げてほしいのです。)。商船、漁船、フェリーのことも、船員事情だけでなく業界事情も入れて欲しい。
 以上のように「誌」の内容を大幅に広げるとすれば、あたかも船員関係の総合誌のようになるでしょう。そのためには当然、編集委員や補佐的人間も大幅に増やす必要があります。
 このように考えを広めていくと、「モットー」は前提として妥当ですが、さらに発展して船員(元船員を含む)とその家族のための、基本的人権の擁護・発展を目的とするという具合に、発展・一般化してはどうでしょうか。
徐々にではあっても、以上のような方向に進むとすれば、将来的には海員組合と対峙できるような、海員組合の方向を変えるような「船員集団」に発展できるのではないでしょうか。
 ここまで存続し、発展を遂げてきた貴誌が、今後進むべき方向としては、以上のような理想が期待されているのではないでしょうか。また、それを切望する次第です。

5 編集部より
 以上、貴重な意見が多数寄せられました。船員社会が荒廃している現状の反映と思いますが、読者の皆さんの本誌に寄せる期待の大きさ、課題の多さに押し潰されそうな感があります。
①記事の内容・題材について
「もっと幅広い題材を!」「海上で起きている具体的な記事を!」「若い船員の悩みに答える中身を!」
②書き手について
「執筆者をもっと幅広く!」「現場の生の声を載せて!」
③船員・海員組合の運動の方向性・指針について
「なぜこうなったのか深く掘り下げる論議を!」「単なる批判でなく現状を打開する方向性を示す指針を!」「真の羅針盤たれ!」
④具体的な活動について
「現状を打開する具体的活動に着手を!」「ネット等を活用し、船員の日常の悩みに答える活動を!」
皆さんの声をこのようにまとめました。しかし、いずれも我々編集子の身に余るものがあります。
すべてに答えることは困難ですが、可能なことから順次手を付けたいと思います。具体的には、
*記事の内容・題材を広げ、船員社会全体に目を向けて行く。
*関係各方面に執筆を依頼する。また取材・インタビューを行う。
*船員社会全体の現状を打開するための方向性を深める内容を追求する。
当面以上を追求していくことにしました。今号の海上技術学校や内航活性化検討会答申に関する記事はその一環です。海員組合の現状についても、「何故こうなったのか」原因を深く掘り下げていきたいと思います。
いずれも現場からの投稿や読者の皆さんの参加なしには実現不可能なので、ご協力の程よろしくお願いします。
(編集部一同)