Vol.35 内航おしゃべり広場 ⑫

バンカー船・船長(50代)
最近は暇
　最近は暇だねエー、月に15航海もあればいい方だし、フル（５００㎘積み）に積むことも少なくなった。あそこに係留しているＡ社の４９９もバンカー専門だけど、最近はしょっちゅう着いているから暇なんだろうね。安い給料だ　からこの位がちょうどいいか。
　本船は内航船にも外航船にも行く。元々外航船はシンガポール辺りでフルに積むよう計算しているから、フルバンカーは少なかったけど、今は特にそういう傾向が強いね。日本の油が高くなったのかな、注文が少なくなっている。陸のタンクには油が余っているらしいね。外航はまだ、ロウサル（Low Sulfur：低硫黄分）のＣ重油で走る船が多く、タンクが汚れるのでＣ重油は積みたくないから、お陰でこちらは助かっている。
最近は内航船でもフルまで積まず、ちょびちょび積む船が多くなった。コロナで稼働が減っているせいもあるけど、油の値段がしょっちゅう変わるので、安い時を見計らって一気に積み込めるよう、毎日油の値段に神経をとがらしているらしい。内航船は１隻１隻が小さくても、１００隻も運航しているオペレーターにすれば、その差は大きいんだろうね。本船はオペレーターから直ではなく、間に商社が入っている。それぞれ色々思惑があって、細かく計算しているんだろう。（談）

１９９黒油タンカー船長(40代)
若い人や女性も定着
　本船の航海は関西中心で、せいぜい瀬戸内止まり。夜中に走ることは少ないから夜はゆっくり寝られる。休暇サイクルは18日乗船で９日の休み。乗下船の日も休暇扱いだけど、会社が港近くに駐車場を借りていて、車で出勤するから苦にならない。車は下船日まで駐車場に置いておく。
船機長両方やるので、給料は手取り60万近くでボーナスもある。雰囲気が良いせいか、年配者も若い人もまず辞めて行かないね。女性船員も定着している。（談）

４９９ケミカル船・航海士（30代）
積荷トラブルは疲れる

　この間、積荷トラブルで大変だった。揚地でマニホルドのストレーナーに細かい布みたいのが詰まり、ポンプ圧力が上がって何度も掃除。荷役が大幅に遅れて次の航海は中止。本船はスポンジしか使わないのに、荷主の石油会社はクリーニング中にウエスを置き忘れたと本船のせいにする。荷主の方こそ、ちゃんとストレーナーを通しているのかと言いたいよ。
　オペレーターは本船と荷主の間に入って苦労しているね。客相手にケンカはできないし、かと言って、ガンとした態度で言うべきことを言っているという態度を我々下請けに見せないと、信頼をなくしてしまう。船主より我々に気を遣ってくれるね。我々乗組員がいなければ、オペも船主も商売が成り立たないからね。
　疲れた時はうまい飯を食べたいけど、毎日同じものばかりでイヤになっちゃうよ。マカナイがいるのも良し悪しだね。（談）