「海員組合の前トップが基金流用 東京国税局、6億円申告漏れ指摘」【共同通信記事】

6月20日、共同通信が海員組合森田前組合長の6億円着服、国税局が2億円以上の追徴課税を徴収と配信。NHKテレビのニュースウォッチ9を皮切りに、朝日、毎日、日経を始め各地方紙で報道され全国に知れ渡った。

<共同通信ニュース>

海員組合の前トップが基金流用
東京国税局、6億円申告漏れ指摘

海運業の労働者らで組織される労働組合「全日本海員組合」(東京)の森田保己前組合長(57)が東京国税局の税務調査を受け、2020年までの6年間で計約6億円の申告漏れを指摘されていたこと20日、関係者への取材で分かった。組合の関連団体の基金を私的流用するなどしていたが申告していなかったという。追徴課税は重加算税や過少申告加算税を含め、約2億円以上とみられる。

関係者によると、森田氏は組合関連の財団法人が管理する外国人船員の研修などの福利厚生に充てる基金の一部を使い、貴金属や高級腕時計を購入しており、東京国税局は実質的な給与とみなしたとみられる。

基金の原資は組合と労働協約を結んだ船舶に乗る外国人船員の組合員が拠出したもの。内部の規定では使途の詳細について組合員への報告義務はなく、管理が不十分な状況が続いていたという。

また森田氏は組合の代表部があるフィリピンで、船員向けの宿泊施設などを建設した際に、現地の業者からのリベートを自身の海外口座で受け取っていたことも税務調査で判明した。

羅針盤 第39号 (2023.3.20)

目次

内航おしゃべり広場 ⑯ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 内航船員

漫画・内航おしゃべり日記 その7 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ トーヤク 

おおすみ裁判をふりかえって ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大内 要三

モーリシャス WAKASHIO事故、その後(3) ・・・・・・・・・・編 集 部

知床遊覧船沈没事故、行政の責任2 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 高橋 二朗

月刊誌内航海運12月号の記事(不公平さが指摘される全日海役員選挙)より

船員働き方改革の問題点 その2 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 編 集 部

「船員の人権を守る会」発足へ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 編 集 部

新刊本の感想、増島忠弘著ジーマ・キャプテンの おっとびっくり航海記 ・竹中 正陽

船員にこだわる物言い(雨宮洋司著)総目次、感想文 ・・・・・・・官庁勤務船員ほか

編集後記
(表紙漫画・故中山かおるさん「海に笑いの波が立つ」1982年発行より)

「羅針盤」冊子は下記リンクからPDFで一括ダウンロードできます。

【投稿】「船員にこだわる物言い」を読んで

~船員教育の良心、継承してくれる人を~

投稿メッセージ本文:

 7年におよぶ長い連載が終わった。雨宮先生ご苦労様でした。
 船員を単なる運び屋、船の動かし屋としか見ない今の風潮。

 今、船員不足の解消とか、船員の確保育成を声高に叫ぶ人達の中に、真に船員を愛し、本気で船員のことを考えている人がどれだけいるでしょうか。単に自分の利益や都合で言っているようにしか見えない人のなんと多いことか。

その点、雨宮先生の視点はまったく違うように思えます。

 今の船員の惨状は、戦争に突き進んで行った戦前・戦中の船員教育の反省に立って再出発した戦後の新船員教育が目指した「新しい学問としての商船学の確立と、新時代にふさわしい見識をもった船員の育成」が、船員制度近代化や緊急雇用対策、その後の船員教育機関の統廃合など、コスト重視の政策でとん挫させられたことと重なっているという視点。

 新学問としての商船学とは、技術取得だけでなく、現場で応用し発展させる能力と国際的視野、労働条件、労働環境など船員の人間性回復も視野に入れた船舶運航学術の学問体系で、それを模索していた教員たちがいたとのこと。単に船乗りになるため商船学校に入っただけの近視眼的思考の身には青天の霹靂でした。

 本の内容をすべて理解したとはとうてい言えませんが、水産大学、商船大学の両方を経て外航の航海士、航海訓練所の練習船教官、富山商船高専で培われた船員を見る暖かいまなざしを随所に感じました。

 先生の良心を継承してくれる人が現れることを願っています。

月刊内航海運誌12月号

月刊内航海運誌12月号に、「特集・不公平が指摘される全日海の組合長選挙」として7頁にわたり掲載されました。同誌の許可を得て転載します。創刊57年になる同誌は内航ジャーナル(株)が発行している海運専門誌で、国立国会図書館で全号閲覧可能です。(編集部)

投稿「雨宮先生の著書を通じて」

元官庁船勤務船員

 知床の遊覧船事故は、単に当事者だけの問題ではなく、経費削減、安全運航の軽視など海運業界を取り巻く末端にまで、国の許認可を含め様々な諸問題を露呈しました。
 振り返ると某商船学校の酒と暴力の温床の寮生活に耐えかね、官庁船で30年以上海上勤務をしました。見習い船員の頃、神戸にあった海文堂で、雨宮先生の「商船教育時評」を感慨深く読んだ記憶があります。それから気が付くと月日は流れ、退職を控え、再び先生の「船員にこだわる物言い」をネットで購入し、自分の半生を振り返り、「羅針盤を発行する会」を知りました。

 先の見えない教育現場で苦しむのは学生だけでなく、教職員も同じです。私見ですが、雨宮先生は、先ず、教育現場の再建から着手され、甲機に偏重した教育だけでなく、文系などの幅広い学問の習熟を提唱されました。
 船員は、自然と共存する職業であり、国際的、多角的な視野を持ち、日々、勉強に励み、研鑽しなければ、モノ化されたまま、単なる海の使い捨て労働者になります。
 現場の教職員を含め、学生も試行錯誤を重ねながら、日々努力を続けてきたものと思いますが、海運業の低迷とともに、社会から取り残された商船系学校の衰退は修復不能状態にあります。
 どんなに自動化、省力化が進んでも、ボースン、ナンバンと言われる職人は、増々、必要であり、彼らの存在無しに安全運航を維持することはできません。人から人へ伝承される海技を熟知しているのが、「羅針盤を発行する会」の皆様ではないでしょうか。

 大手船会社は、海外に自前の船員養成機関を設立し、日本の商船系学校には高いハードルが立ちはだかります。
 夢を持って商船系学校に入学する若者は、我々の宝物であり、彼らの夢を撃ち砕かないように、我々は教育現場に足を運び、受験指導や部活動などの支援をしながら、志ある者には、道が開けるように何か出来ることを始めようと思います。
 来年も皆様がよい年をお迎えされますようにお祈り申し上げます。