現場の声募集中! 匿名可
世の中に「内航の声」を届けよう
電話・ショートメール:090・6482・6503
Eメール:rashinban7@rashinban

499で(シ)(チョー)長(シチョージ)が乗船

 今時499で司厨長が乗っている船は少ないんじゃないか。この船は珍しいね。最近は749でも司厨長を乗せる船は少なくなったからな。
 司厨長は甲板部や機関部の新人が乗っている時だけ出入港のウィンチ操作でトモ(船尾)に行くけど、原則、出入港作業は出なくて良い。荷役も他の5人でできるから開始時の陸とのミーティングに出るだけで、すぐ引っ込んで自分の仕事に掛かれる。だから料理も4皿くらい出るし、メシに文句を言うヤツはいないね。
 かと言って、この船が特別忙しいわけではない。積地は瀬戸内海がほとんどで、専航船だからスケジュールを守るため、オペは一日余裕を見るので仮バースを取れる。揚げは西から南は奄美や沖縄まで。東に行くことはないし、シケの待機もあって上陸の機会が多くて良い船だよ。
 買い出しは司厨長がやるし、仮バースでは皆パチンコやら何やら出掛けるので現金で貰うか弁当を買って来て貰う。自炊の船と違って買い出しや料理に気を遣わない分かなり楽だね。
 自炊船じゃ若い人はインスタントや冷凍物で済ますモンが多いから、5年も乗れば栄養が偏って体によいことはない。おまけに酒や遊びを覚えて堕落する若いのをたくさん見て来た。そういう人間には、悪いことは言わないから元気なうちに船に見切りを付けて陸の仕事を見つけなと言うんだ。早死にしちゃ損だろうと。その点この船は良いかもな。
 荷役の時以外に乗組員同士で会話することはほとんどないね。メシが終わったら皆さっさと部屋に引き上げるから食堂はいつもカラ。飲むのは自室、食堂で一杯飲むことはまずない。
 特に若い人は手待ち時間もスマホに夢中で、何を考えているか分からない。何も考えてないんだろうね。
 船内にいさかいがないのは良いことだけど、どこか寂しいね。
(499、A重油船、航海士)

若者が辞めていく

 本船では20~30代の若者が一年で4人辞めた。理由は様々だ。
 若手ホープの20代航海士は船の雰囲気は好きで乗っていて面白いが、会社がケチで給料を上げてくれないからと。
 船長から出入港時の操船の仕方を長い間伝授され、執職船長直前の30代後半の一航士は、会社が他に船長職を執れる人間を雇ったと聞いて即辞めた。
 30代後半の機関長は出入港時の係船作業のやり方で年輩機関士と口論になったのを機に辞めた。最近はメシも食堂で食べず、会話も少なくなったので船の雰囲気そのものがイヤになっていたらしい。3人とも入社後2年以上になるが辞める時は早い。
 30代の航海士は、やりたくないのに船長の練習をしろと言われ、重荷を感じ一週間で辞めた。そんな話は聞いてないと。結果、本船の平均年齢は一時65歳を超えたが他の船に比べ違和感はない。
(499バンカー船、機関長)