ブラック労組の見分け方

川原 陽(あきら)(元内航船員)

日本の労働組合の現状
 日本の労働組合は、労働組合法を根拠としており厚生労働省が所管する。組合加入率は16・3%(2023年)である。
 日本の全国的連合組織(ナショナルセンター)は、大きく3つに分けられる。
①日本労働組合総連合会(連合)
②全国労働組合総連合(全労連)
③全国労働組合連絡協議会(全労協)
 しかし、大手銀行や商社などの企業別組合はこうした上部組織のいずれにも加盟せず、企業内の組合にとどまっているものが多い。
 一方、最近脚光を浴びているのが、所属企業や職種・産業の枠にこだわらず、個人単位でも加入できる合同労働組合である。
 このような労働組合は「ユニオン」「一般労働組合」「地域合同労組」と呼ばれることもある。
 企業別組合のない企業に勤務する労働者(大阪地域合同労働組合など)、企業別組合に加入できない非正規雇用の労働者(首都圏青年ユニオンやフリーター全般労働組合など)、管理職(管理職ユニオン)などを主な対象としている。
 企業別組合が地域を異にしても従業員を同じ組合に組織しているのに対し、合同労組は、活動の限界を考えて組織範囲を特定地域に限定することが一般的で、近年その紛争解決力の高さで存在をアピールしている。

こんな労組に御注意!
①組合事務所内では専従プロが組合員を上から目線。
②常に経営側の意向を気にして、労使一体を超えて仲間同士。
③組合の運営を批判すると、聞く耳無く過激派扱い。
④常に幹部主導で上意下達・前例踏襲、官僚主義に闇人事。
⑤若手組合員は呆れて無関心。後継者が育たない。
⑥下から提案が出ることはない。
たまに現場から提案されても「検討する」で逃げる。現場の声を反映させるシステムになっていない。
⑦大会はいつもシャンシャン、予定時間どおり夜は宴会。
⑧イエスマンで脇を固め、お手盛りの役員茶番選挙。
⑨現場組合員が役員に立候補する事はない。たまに立候補しても負ける仕組みに。
⑩任期制限がなく、組合幹部は長期独裁体制。役員の新陳代謝が無い。
⑪役員が現場復帰する仕組みがない。現場組合員が役員になる仕組みもない。
⑫組合活動は賃金とボーナス交渉に特化。
⑬組合内のイザコザ、裁判沙汰が多い。


賃上げ交渉
①現場組合員に相談も無く、要求額を幹部が勝手に決めて現場に降ろす。
②毎年期限内に円満妥結・春闘で交渉決裂することは皆無。
③交渉を組合員に公開しない、見せない、裏交渉で決める。
④組合トップと経営トップが蜜月関係=秘密交歩で妥結する。
⑤妥結後トップ同士で反省と称して豪華懇親会。
⑥社内に給料体系すら公表せず不透明(誰がいくら貰っているか分からない)。
⑦他社の賃上げ額、ボーナス妥結結果を知らせない。

組合費
①活動の割に組合費が高い。
②組合費は給料自動振込。集金のため現場に顔を出すと、文句を言われて支払い拒否されるからイヤ。
③幽霊組合員がいて会社が組合費を納金する(俗にいう網掛け=オカルトの世界です)。
④運営資金が余っているのに、絶対に組合費は下げない

会計報告・基金
①形式だけの会計報告でごまかす。
②領収書は組合員に絶対見せない。
③組合資産がやたら多い。
④専従の退職金だけはチャッカリ確保。
⑤組合員に会計報告がない意味不明の基金が沢山ある。
⑥身の丈以上のスト資金を積み立てるが、ストをしない。
⑦役員が基金をネコババ可能とする仕組みが出来上がっている。
⑧役員が基金をネコババしても内部告発は期待薄。

幹部役員
①役員は現場経験が浅い者ばかり。
②会社で出世出来ないから、組合内で上昇志向。一度握ったポストにしがみつく。
③「労働組合とはなんぞや」に、当たり前に答える事が出来ない役員が多い。
④経営側からバカにされても知らん振り。足元見られてもポチを貫く。
⑤経営側の接待が多い。
⑥軽い役員だから経営側は長期独裁体制を望んでいる。
⑦組合の懇親旅行に会社側からご祝儀。
⑧週末の地方出張でゴルフ・温泉三昧。
⑨現場は賃上げなしでも、自分たちの給料は惜しみなく上げる。
⑩役員と専従はゴマスリで子弟関係が確立される。

組合専従・職場委員の仕事(これが一丁目一番地)
 次のようなブラック労組の専従や職場委員にご注意を!
①現場第一主義と組合員に言うが、現実は自己保身に尽力。
②専従や職場委員が来た時は、組合と会社の悪口は控えること。意地悪い専従や職場委員は、会話内容を悪く色付けて会社に報告する。
③現場の悩みや不満を伝えても未解決のまま放置する。組合員が不当な人事を受けても知らん振り。
④会社と現場の橋渡し役すら放棄して、職場の職制任せ。
⑤組合の悪口を言われると、謙虚に反省するどころか、ヤッキになって攻撃する。
⑥常に本部の方を向いて仕事し、現場組合員のことは思考ゼロ。
⑦現場の設備、労働環境の問題を取上げるすべすら知らない。
⑧会社の法令違反には目を瞑り、組合員の処分には「違反や落ち度がある以上しょうがない」。
⑨100%労災であっても、健康保険で治療させる会社を見て見ぬ振りで労災隠し。
⑩組合専従・職場委員は上級職ばかり。出世コースの一つに。

ブラック労組の従業員・事務職員
①派閥争いの監視社会。常に幹部から人脈を監視されている。
②人事は上意下達。物言えば唇寒し秋の風。
③減点主義が蔓延し、失敗すると飛ばされるから新しい提案が無い。
④気に喰わない者には処分と解雇が容赦なく待ち受ける。
⑤従業員同士が仲良く会話出来無い。職場に笑いもない。
⑥他の従業員が困っていても助けない。従業員は見ざる・聞かざる・言わざるの精神。
⑦派遣業を無くす立場の労組なのに従業員に派遣社員が多い。
⑧組合専従になりたい現場組合員がいない。
⑨組合従業員の労働組合が無い。あっても交渉しないで潰そうとする。

こういう組合にならないよう留意しましょう。