日本の船員と海運のあゆみ
―戦後復興からグローバル経済下の船員社会―
            藤丸 徹著/赤塚宏一校閲
            成山堂書店発行3000円(税別) 

 本書は、海運界が直面した激動の歴史を縦軸に、閉ざされた船内で仲間と共に世界中の海を走破した船員の姿を横軸に、今日の発展を底辺で支えた船員の生の声を取材し、全て実名、実船名でその足跡をたどる。
 戦時下、激戦の海で死闘を繰り返し多くの仲間を失い、戦火の海を生き抜いた壮絶な人生。戦後復興に挺身し、高度成長へ至るまで人知れず貢献した船員たち。その後、近代化実験、FOCや混乗の開始、教育再編、緊急雇用対策などを余すことなく網羅。
 「船員と言う職業集団のリアルな貢献と歴史を残したい」と言う著者の真摯な思いが詰まった一冊。将来の海運・船員界を支える若者たちに是非読んで欲しい。
著者は、川崎汽船甲板員から東京海事航海士を経て海員組合勤務。元教宣部長。A5版、308ページ。

目 次

序 章 船を失った海洋日本

第1部 戦後復興の礎と経済成長を支えて

 第1章 630万人の引揚げ輸送
 第2章 占領下の商船と船員
 第3章 忘れ得ぬ戦標船
 第4章 生と死のはざまで
 第5章 海にロマンを求めた若者たち

第2部 戦後からの脱皮と船員

 第6章 海と戦後社会
 第7章  船乗りたちの仕事
 第8章 中東戦争と日本船舶
 第9章  変貌する海上社会
 第10章 経済成長下の船員社会
 第11章  激変する船員社会

第3部 グローバル経済下の船員社会

 第12章 外航海運の大転換
 第13章 近代化実験の開始と終焉
 第14章 終わりの始まり

終 章 海鳴りのかなたへ