― 裁判の経過と組合員の思い22―

内航組合員 竹中 正陽

最高裁が上告を棄却
竹中勝利・組合敗訴が確定

○竹中の組合員資格確認・組合長選挙無効裁判
 昨年2月に東京高裁が竹中勝利の判決を出した後、双方が最高裁に上告。上告受理申立を行っていたが、昨年H月17 日最高裁は双方の上告を棄却する決定を出した。
この結果、海員組合が竹中に対して行った一連の行為が、故意による違法行為であったとする高裁判決が確定した。
(高裁判決の記述抜粋:
『被告組合は、従来の組合規約の解釈や運用に反していることを認識しながら、あえて1審原告について組合員資格がないとする取扱いをした。』)
 確定した違法行為は次の通り

①規約に違反して行われた全国委員選挙の件
 平成24年の全国委員選挙が、組合長が告示した選挙日程を理由なく早め、個人加入組合員に投票用紙を発行しないで行われたことに対し、竹中が規約に基づいて苦情申立を行ったが、組合は無視して強行した。
②会計帳簿の閲覧拒否
 規約に基づいて、過去5年分の接待交際費と裁判費用の帳簿・領収書の閲覧請求をしたが、組合は一切応じなかった。平成25
〜27年。
③組合費の受取り拒否
 長崎大会直前の平成25年10月、組合が竹中の組合費の受取りを突然拒否した。
④組合付属船員職業紹介所への離職登録を拒否した件
 会社を退職した竹中が、組合本部で職業紹介を受けようとした所、「竹中さんには必要ナシ」として拒否された。
⑤組合大会の傍聴拒否
 平成25年■月の長崎大会に際し、事前に傍聴券の申請をしたが組合は拒否。当日会場でも傍聴を拒否した。
⑥組合員資格のはく奪
 長崎大会の前日に、中央執行委員会は竹中の組合員資格はく奪を決定し、大会運営委員長・役員選挙委員長・場内整理委員長らに伝え、実行した。この事実は竹中に伝えられなかった。
⑦組合長選挙立候補届の反故
 長崎大会で藤澤組合長の統制処分が確定した後、急きよ組合長選挙が行われることが発表された。竹中は立候補届を提出したがもみ消され、立候補自体なかつたことにされた。
③組合長選挙立候補届反故に対する苦情申立の無視
 大会後、立候補届が反故にされた理由を知らない竹中は、規約に基づいて釈明を求めたが無視され、苦情申立書も受け取り拒否された。
⑨全国委員繰り上げ当選拒否
 全国委員1名の資格喪失により、次点の竹中を繰り上げ当選させなければならないところ、「組合員資格ナシ」としてこれを拒否。仮処分裁判の決定により組合員資格が回復した後も、組合費を受領しておきながら繰り上げ当選は拒否した。
⑩全国委員選挙立候補届の反故
 平成26年の全国委員選挙に際し、立候補届の受け取りを拒否し、立候補を認めなかった。

謝罪と是正措置を求める

 裁判所は、これらの全てに対し、組合規約の違反、組合員に対する権利侵害と認定し、断罪した。
 また組合と松浦副組合長は裁判結果を認め、連帯して、190数万円の慰謝料・弁護士費用を竹中に支払った。しかし、それは法律上の義務を履行したに過ぎない。
 組合自治、組合規約の履行は果たされていない。
 組合員に対する権利侵害が明白になった場合、組合が取るべき措置は組合規約にはつきり示されている。
組合規約107条 統制違反として処分の対象となる場合
 A項6 組合の諸証明や組合内の地位を悪用して、組合員や組合外のものに被害を与えた場合。
 B項 以上のほか、組合の名誉を傷つけ、組合の組織に損害をもたらし、組合員に被害を与えるなど、悪質な行為であると認められた場合』
109条 統制委員会
 『A項 統制委員会は統制違反や組合員の権利侵害にかかる事件について調査審間を行い、処分などについて報告する任務と勧告する権限をもつ』
 したがって、裁判が確定したことにより、統制委員会が動かなければならないことは明らかである。
 その際、組合規約、組合員に襟を正すためにも、悪質な規約違反により組合員と組合に損害を与えたことが確定した松浦副組合長、竹中の組合員資格喪失を仝員一致で「確認」した森田・田中組合長代行(当時)を始め中央執行委員会のメンバーは、自ら処分を申し出るべきだと思う。
 また統制処分とは別に、竹中に対する謝罪と名誉回復措置、今後、同じような組合員を出すことがないよう、是正措置を講ずる義務が中央執行委員会にあるはずだ。
 裁判の終結にともない、今後これらの措置を求めていきたい。

 なお、この裁判の組合側弁護士は、北新居良雄、大熊政一、田川俊一の3名の顧問弁護士と、蟹江鬼太郎、五十嵐崇仁、竹谷光成、黒田直行の計7名。竹中側は、近年海員組合との裁判を担当し、いずれも勝訴している志村新弁護士と萩尾健太弁護士の2名でした。
○志村新(しん)弁護士
東京四谷の東京法律事務所。
(8031335510611)
○萩尾健太弁護士
東京渋谷の渋谷共同法律事務所。
(8031346314351

○大倉元執行部員の裁判
大倉元執行部員と鈴木総務部長の証人尋間終了

 大倉実元執行部員(関西地方支部元副支部長・元博多海員会館館長)が提訴した裁判は、11月20日に証人尋間が行われた。
〈提訴内容は、2012年の再雇用職員規定の改訂は改悪=不利益変更であり無効、したがって月給の減額分・期末手当未払い分・慰謝料を支払えというもの〉
=鈴木順三総務局長証言=
特定の者だけ優遇する現実が露わに!

 鈴木局長は、「平成24年から再雇用職員の期末手当一律支給をやめ、個々の契約によると改訂した」、「理由は東日本大震災で組合費収入が減る財政事情から」と証言。
 その一方で、「他の役職員に対しては、この4、5年毎年ベースアツプをしている」、「60歳以上は、再雇用職員、継続雇用職員、臨時一雇用職員の3種類あり、安全指導員など臨時雇用職員は、期末手当を支給することになっている」、「60歳以上で期末手当を支給している職員は4〜5人、65歳以上の職員も3人いる」、と正直に?述べ、特定の者が優遇されている状況が露わになった。

自らの営業努力で期末手当を獲得せよ!
 期末手当の廃上については、「出向先次第で、支給される人と支給されない人がいる」、「出るか出ないかは、海員組合がとやかく関与する問題でなく、それぞれの勤務場所での営業努力次第」、「コンサルタントや支配人がいなくてもやっていけるんではないかと、今回から支給しないことにした」等と、自力で獲得しろと証言。
 改訂後の職員規定も示さず押印させたことについても、「まずは印鑑を押してもらつた」、「期末手当がなければ更新しないと言われたら、そうですか、と言うだけの話」と、ふんぞり返り、年間2百万円の手当減額も「当然、不利益変更に当たらない」と、堂々と?自論を披露した。
 大倉さんの雇用を打ち切ったことについては、労組に加入したことは聞いたが、元々65歳以降は更新しない方針だったので労組加入が原因ではないとした。

=大倉さん証言=
寝耳に水の職員規定変更

 職員規定の改訂について大倉さんは、「再雇用職員規定の改訂や期末手当の廃止は、サインを求められた10月に初めて聴いた。理由は問いていない。機関決定だから了解しろということだつた」、「その時も規定は見せて貰えず、その後単身赴任の帰省旅費を請求したら規定は変わって支給しないという返事が来て初めて分かつた。」、「組合が送ってくれなかったので、内部の友人に頼んで送ってもらった。組合が送つて来たのはサインした
後だった」と証言。
 サインしたことについても、「神奈川からの単身赴任で生活が大変だと強く訴えたけど、決まった内容だからと言われた」、「即解雇になる恐怖を感じ、仕方なくサインした。納得できなければ更新しないということだった」、「1年前から着手していた博多海員会館の一般財団法人への移行手続きの重要な時期で、責任を感じてやめるわけにはいかなかった」等と、当時の鈴木部長とのやり取りを含め、赤裸々に証言した。
 雇止め前の28年9月に鈴木部長に海員労組加入を伝えた所、10月に部長が博多に来て契約更新なしと言われた経過も語られた。
 裁判は2月15日に結審した。
◆判決一5月3‐日午後1時10分東京地裁709号法廷

東京地裁が森田組合長の不法行為を認定
 北山元中執の再雇用拒否で損害を受けた海員労組が、海員組合と森田組合長・田中副組合長に対して損害賠償を求めていた裁判の判決が2月9日出され、森田組合長の違法行為を認定し、計11万円の支払いを命じた。詳細は次号。


(以下次号)