知床半島沖合で観光船(長さ19m、幅4m、19トン)が乗員乗客26名を乗せて沈没した。
確かに事故の原因がこの会社や船長の安全を無視した運航にあったことは間違いない。
 しかし、一方で会社の運航管理規程を許可し、安全運航を指導する責任が行政の国交省にある。
事故の3日前に国交省の代行機関の「日本小型船舶検査機構」が中検を実施していた。
 無線/衛星/携帯のどれかで常に交信できる義務があるが、無線アンテナは破損して使用できなかった。また、事故海域では携帯がつながりにくいことは地元の検査官も知っていたはずなのに携帯でOKした。GPSも修理中とのことで検査時になかった。
 会社は修理済だといっているが、船体の右舷船首部に喫水線に至る亀裂があった。もし検査のとき左舷付けで係留していれば、ボートを出すなどして右舷側の検査も実施しなければならないが、果たして亀裂箇所を検査したのだろうか? 検査をしなった可能性も高い。
 このようなことから、事故の原因は、船を監督する行政にもあると思う。(元航海士)

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